オーバーオールに何でも詰め込むヤツには警戒しろ


ちょっと、呆れたことがあったので。
#この話は、業務の構築についてで綴っていますが、“システム開発のプロセス”と置き換えてもお楽しみいただけます。

仕事をしてれば、事務処理のような定型作業と突発的な一時的な作業と2つに分けられる。事務処理などは定型作業だし、品質マネジメントシステムのような自組織に要求事項を持ち込み、その要求事項を充足する規定を構築した上で、行う業務もまた定型作業になる。

定型作業は、その業務の特性により、定められた業務規定があるものとないものがある。いずれにしても、定められた業務規定により作業結果が要求を満たすようにしくみ作られる。


経験のないヤツにやらせるな
業務規定を作るということは、固定作業を生むということであって、その作業に関わる要員の時間を奪うということである。それは経営の観点から言えば、コストを費やすということであるから、要求事項の充足は確保しつつ最小のコスト=作業時間で完了することを期待するものだ。
同じく、その業務を規定どおりしなければならない要員もその業務に掛かる手間は少ない方が歓迎されるものだ。

業務を構築する経験のない人は、その経営の期待もを知らないし、その業務を担う現場の気持ちに気づきもしない。
なぜなら、自分の手で一つひとつ作り上げた業務故、それがその人自身のデファクトスタンダードであって、守る教義になってしまっているからだ。

もし、どうしても経験のない人にやらせるなら、それに近しい経験者を選ぶか、経験値を持っているひとをオブザーバにつけることを忘れずに。


経験があっても疑え
なら経験がある人を連れてきてやらせればいいのか、と言えば、やはり注意が必要なこには変わらない。経験がある人は、次のことを注意したほうが良い。

過去の成功体験だけをパターンに使い、それだけで業務を構築していないか。
業務を構築するときに、現場などにサーベイしているか。


多くの人が使う業務を構築するとき、ステークホルダーは幅広い。すべてのステークホルダーの満足を得ることは難しいから、すべてを満足させようとしてもいけないが、

“自分の頭の中の世界だけで作り上げてはいけない。”


ことは先のケースと同じだ。ただ、経験があるだけ確かな業務を構築することが出来ることが期待できるから、そこには注視せず、

“周りの人が如何に軽くなるか、耳を傾ける姿勢があるか”


業務を構築する人が独りよがりになっていないことを確認できていれば良いだろう。


何でもかんでも詰め込みたがるのは自信がないから
経営の観点は、最小コストで実現することで、要員の興味は、少ない手間であるかどうか、を期待している。ところが、業務の作り手によって、業務の作り具合が変わってくる。

一番厄介なのが、その業務に必要なこともそうでないことも、何でもかんでも詰め込んでしまうことだ。ステークホルダーの期待は、最小限で要求事項を充足すること“だけ”であって、不必要なことは何一つさせたくも、したくもない。

ところが、業務を構築する人から見ると、その新しい業務を実行する人たちは、そこにすでに居る人たちであって、その人たちが業務の一環としてやるのだから、コストに関して気にしていない。だから、“最小のコスト”ということに注意を払わない。
例え、誰かがやるその業務にはコストが掛かることを知っていても、自分がそのコストを負担する訳ではないから、考慮しないのである。

コストを気にせず、何でも詰め込むことのもうひとつの背景には、新しい業務をコストや要求の理解に対して、本人が自信を持っていないから、という面も大きい。業務を構築する当事者が、一番理解することが必要なのに、自分自身の腹に落ちていないから、不安に思い、関係しそうなことすべてを漏らさず取り入れようとする。

自分なりでも理解して、腹に落としているのなら、何がこの業務に必要で、何が不必要なのか取捨選択ができるのであって、それができないのは自信がない証左ではないか、と。
#まぁ、不作為っていう面もあるけれど。

それでも業務を構築する経験は、あとあと大変価値があるものになるので是非経験して欲しいな、と思うのです。