プロジェクトという“輪”の中でエンジニアは何をすべきなのか

大人になって手を繋ぐことってずいぶん少なくなりましたね。三次元の恋人か子供とかと手を繋ぐ機会じゃなければほとんど皆無じゃないですか。
#あ、おまわりさーん、この人です!ってなっちゃいますので危ないですよね。

子どもが幼稚園に行っているときの父親向けのイベントで、お父さん同士が組んだ手を子どもが繊毛運動のように動いていく遊びがあったんですが、そのときやっぱりドッキリしたんですよ。他人と手を繋ぐのって久しぶりだ、と。
手を繋ぐって比喩的に使うことがあるけれど、実際につなぐことって滅多にないですね。特に、日本はスキンシップが普段から多くないし、今、触るタイミングを間違えるとセクハラやパワハラと受け止められちゃいますから。


手を繋ぐことは、自分自身の手であっても気づかない体調の変化を知る手立てでもあるんですね。知らず緊張していたら、手が冷たくなっているとか。それが他人ならどうか、ってことです。自分はリラックスしていても、隣の人は問題を抱え過ぎていて、手が冷たくなっているかもしれない。顔は笑っているかもしれないけれど。
そうそうとスキンシップをし過ぎることは、適度な加減が難しいし、受け手が自分と同じように受け止めてくれるとは限らないからプロジェクトの中では勧められないけれど、自分自身の状態を自分で知る手段としてはいいのかもしれません。
#あ、これワークショップのアイスブレークで使えるんじゃないかな。



プロジェクトは“輪”である
プロジェクトを構成するのはやっぱり人であって、そのプロジェクトを表現すると“輪”で表すことができるな、と。その輪は、プロジェクトチームと顧客と他のステークホルダーを含めて輪を作るイメージです。


実際、誰かが何かを作れば、次の工程の人に渡さなければdeliverableにはなりませんから、“輪”の中を中間作成物が行ったり来たりすることになるんですね。で、顧客から出た要求がプロジェクトチームや他のステークホルダの手を渡って最後に顧客に戻ってくる。そうイメージすると“輪”はとてもイメージしやすいですね。


輪の中で何を為すか
プロジェクトチームと顧客と他のステークホルダとで“輪”を作る。その中を要求から中間作成物に変換して最終的にdeliverableに作り上げられる。そうすると手から手に渡るとき、誰かが手元に中間作成物として持っているときにその中間作成物に対して何らかの役割がある、と言うことになります。ただ受け取って、次の人に渡すのであればその人の存在価値はありません。


“輪”の中に入っている以上、その“輪”の中で為さなければならない役割があるというとです。プロジェクトの中で期待される役割があって、その役割を担えるから手を繋ぎ、“輪”に入る。その“輪”に入るためには、期待される役割を遣り遂げる責を負うし、その役割の責は役割を期待する側と応える側の双方が合意していなければお互いに“輪”を作るときに手が届かないことになってしまうんです。それでは“輪”にならないですね。手が切れている所は責任分界点にクレバスがあって、その中に入った途端、プロジェクトはリスクをしょい込むことになってしまうんです。


合意しなければ責任は持てない
プロジェクトは“輪”である。その“輪”は、繋いだ腕の長さの分だけの役割と責を負う。その役割と責は、期待する側と応える側で合意していなければクレバスの深井底に逆様に落ちてしまう。であればこそ、合意した腕の長さの分だけは最低限の役割を担うことができる、とはじめて言えるのではないか。合意するからそれが言えるのであって、合意がなければ、「それは知りません。」「それは聞いていません。」と言うことになってしまうのではないか。逆にそれを防ぐには、双方で役割と責を共通理解するほかないのではなか、と言うことになるのだと思います。


言い換えれば、プロジェクトチームと顧客とそのほかのステークホルダがプロジェクトチームとして“輪”を作るとき、それぞれの合意した役割の分だけ、腕を伸ばして手を繋ぎ、“輪”を形成するのだと。


なぜ“輪”を形作るのか
それは、役割と責を持って“輪”に入る以上、その“輪”の中で責任を果たすためです。しっかりと手を繋いでいるプロジェクトチームなら、どんなリスクにもそれこそチーム一丸となって対処できるでしょう。ところが、“輪”の中の誰かが出せるパフォーマンス以上の役割と責を負っているとき、リスクが発現したらそれに対応する余裕がありませんから、プロジェクトとしての“輪”が切れてしまうことになるんですね。こういった“輪”は一度切れてしまうと修復にはとても手間がかかります。手を繋いているのに、繋いだ手の体温を知ろうとしなければ、どんな具合の中間作成物が出てくるかを予測することすら意味がないことになってしまうでしょう。
同じように、自分の役割を他のメンバと合意していなければ、手を繋いで“輪”を作ることはできません。“輪”になっていなかったら、顧客から出た要求は、中間作成物として渡っている途中で止まってしまい、顧客にdeliverableとして届かない、ということになります。


なぜ、プロジェクトチームと顧客と他のステークホルダと“輪”を作ると表現したのか。それは、“輪”の中で何を為すか合意し、合意の範囲の役割と責を“輪”の中で果たすためなのです。






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