チームを成長させるには知識を捨てる発想が必要でした


組織を学ぶ最少はチーム
組織という集団を実感する最少の単位はチームですね。それは、プロジェクトチームかもしれないし、所属する部署かもしれないけれど、二人以上いて、ある目的のために一緒に働いていたらチームですね。そういうことにしておきましょう。


プロジェクトのチームでも組織の所属部署でも、ほんと、構成する人々によって雰囲気というか文化が違いますよね。同じフロアにいても、空気の濃淡や照明の明るさまで感じ方が変わってくるような、そんな気がしませんか。隣のチームは暗いよね、とか、殺伐としている、とか。


そういったものをワタシは“家風”なんて揶揄したりするんですが、その家風を作り出しているのは大体マネージャだったり、発言や行動力の高いメンバだったりするわけです。傍から見ていいね!って言いたくなるお家もあるけれど、あそこは勘弁……と近づかないように避けたりすることもあったりなかったりするかもしれない、“家風”はやっぱり楽しそう、に見えるようにはしておきたい、ですね。


ばらばらであることの光と影
さまざまなチームや所属部署のメンバは、それぞれのメンバが背負っているキャリアがあってそれを持ち寄って一つの組織を構成するわけです。その組織の骨格は、規定や標準化や運用ルールやらの周りを肉付けする筋力のようなもので、寄り集まるメンバの特性によってチームを明るく照らす光になったり、暗く陰りを落とす障壁になったりするんです。


光がよいとか、影がダメだとかではなく、そうしたメンバの特性一つひとつがチームを形作るものであって、それは、今のチームや所属部署を一番端的に表現しているものなので、それはそれとして現状認識と“今は”そういうものなんだ、と許容する力量がマネージャには必要ですし、メンバにだって必要です。


組織として成長するために必要なこと
そうしたチームや所属部署は組織として成長を求められるのは、プロジェクトの遂行やビジネスの目標があってそれを達成するために個人として期待されるパフォーマンスや自己伸長だったり、それを束ねたチームとしての成果をアウトプットすることが求められるからです。


その成長となる“場”ステージにはダンジョンやらボスキャラがいるもので、容易にクリアさせてはくれないものです。はじめはクリアするたびに、個々の経験値として溜め込まれるものをボスキャラがアップグレードするたびに個々の経験を属人のものとしておくだけではヘルスポイントが足らないことを知り、個々の経験を共有しようと組織としての知の共有が自然とはじまります。


組織としては、知の共有で個々の体験が形式知として共有されることで組織としてのチームのレベルがアップするわけです。ただ、これだけITのツールが雨後の竹の子のようにニョキニョキと出てきては消えているような時代になっても、用意された仕組みを上手に使ってリポジトリを作るような発想をして実際に辿り着いて実行するまでステージに進めるチームは多くないです。それは、エンジニアのチームであっても同じです。


組織とし、チームとしてボスキャラを倒し続けられるためには、組織としての成長が必要で、そのための初めの一歩が知の形式化による共有です。



捨てる組織
個人の知をチームで共有するようになると、当然、倒せるボスキャラのランクはアップするのですが、次第に未経験のボスキャラと出くわすことになります。それって、それまで個々の経験を共有してきたことを全否定することに近い意味を持つともいえるものです。


これは、いまいる組織やチームの振る舞いと実際の成果、つまり、ボスキャラのクエストの結果と差異があることを端的に示しているのです。


さて、どうするか。今までのターンの構成では新しいボスキャラはクエスト出来ないんです。今まで共有してきたチームの形式知を全て否定されているとも取れます。それは、自分たちの組織のやり方のもとになっている形式知を疑え、ということなのではないかと結果が如実に語っているのではないか、そう思うわけです。


組織として既存を否定されている状態なのであれば、既存でないアプローチをとるほかないんですね。だって、クリアできないんだもの。そこには今まで獲得してきた形式知をその新しいボスキャラでは一旦忘れる、そう、頭の中から捨てて新しいターンを構成するための学習する機会を作れるかどうか、を問われているのではないかと思うんです。


新しい知識を得るために過去の形式知を捨てる発想は、組織だけではなくて、一個人のエンジニアとしてでも必要なことです。