初めてマネージャになってチームメンバと変えていった仕事のしくみ


理想の組織を、チームを作るのはどうやったらいいんだろう。初めてマネージャになったら担う職責からのプレッシャもいろいろやってみたいと思うことも全部混ぜ合わさった気持ちでいっぱいでも不思議じゃないんだ。


でも、実際、チームが居る場所に行けばわかることがあるんだよ。


その前に、ちょっと横道に逸れるけれど、初めてマネージャになるケースは、他の部署から赴任するケースと生え抜きで上がってくるケースがあるのは容易に想像がつくよね。でもね、いくら生え抜きでも元のメンバというポジションからマネージャの目線で見ることを意識していなければ見えないことも沢山あるし、見ようと思って色々頑張ってみてもそのポジションにいないと見えないものも権限で知ることが出来ないこともあるんだ。それは嘆くことではなくでそう言うものだから、そういうことで自分自身が後でびっくりしないように余裕を作っておくことが大事になるんだ。


はじめてマネージャになるんだから、「あぁしよう。」「こうしよう。」と思うことは一杯あると思うけれど、それはアナタが勝手にそうしたいと思っているだけであってその思いは誰も知らないということを知ることから始めないといけないんだ。


いいかい?現実はそれほど甘くない。何故かは後でわかると思うけれど。


理想と現実のギャップ
ワタシが初めてマネージャになったとき、それまでのチームの文化・習慣を知って驚いたことと言ったら。その内、幾つかそれ以降に変えさせようと“ワタシから意識的に行った”ことを並べてみよう。


些細なことでも会話してメンバと話す機会を作る
それまでチームのメンバは、何につけてもメールで会話していたことを変えさせるためです。隣にいてもメールで話す、そんなバカみたいなことをしているのを変えさせないといけない、と思ったから。


メールは便利だけど、直接会話して言いたいことの10分の1も伝わらない、と思っています。勿論、ニュアンスも伝わらない。直接話せば1分で終わることも、メールで会話が始まると次第に険悪になったりする。メールは便利だけど、会話を補完するツールでしかないことを分かっていないんだな、と思ったんです。

それよりもワタシがメンバを気に掛けているということ、知りたいということを、メンバの席まで自分の足を使って歩き回ることで示したい、という思いが最初にあったんですよ。でも、それ寄り先に変えないとイケないことを見つけてしまったわけです。それがメールを中心とした会話です。
#で、話しが元に戻る。


では、すべてのメールを否定しているかと聞かれればそうではないです。人の記憶ほど当てにならないものはないですから。だから、メールは出すけれど、会話もする。メールは後でお互いに思い出せるようにするための保険になりますからね。


アウトプットを共有する
職人集団と言うか、間違った個人主義の集まりだったんですね。組織になっていないんです。


組織としてのパフォーマンスを発揮するためには経験したことは形式知に変換して共有することが組織の能力の最低レベルとして確保するものであり、それはそのレベルを習得して作業することでそのレベルまでは暗黙としてコンテキストを高めることができるのに。


メンバはプロジェクトのアウトプットはイコール成果物だからファイルサーバにアップロードをするけれど、それ以外は全く共有している気配がなかったんです。それでは、後で見返したときに、類似のプロジェクトで再利用するにもアウトプットがあってもそれに到達するためのhow toが想定できません。増してや、経験の少ないメンバにとっては。


提案の資料はココに、プロジェクトの資料はアソコに、個人の資料はアッチに、と、資料によって置く場所をファイルサーバ上で分けるようにします。何れも、自分から実際にディレクトリを作って、資料によって権限をファイルサーバに付けてもらって公開したんです。勿論、メンバに見せていい資料だけ、ですけど。


そこで、ワタシがメンバに繰り返して言い続けたことは「その資料ファイルサーバのどこに置いた?」です。で、「どこどこです。」と言われても長いパスは覚えられませんから「資料が出来たらパスをメールで教えて。」と後で何度も聞き直さなくていいようにこういうところでメールを利用したのです。

本当は、ワタシは組織を、チームを作るなら今チームが持っているスキルを標準化して、一人ひとりのパフォーマンスを生かして組織の成熟度を上げたしと思っていたんです。


でも、現場はそんなことが出来る状況ではなかったのです。


メンバが自分の成果であるアウトプットを共有してくれるということは、色々な効果の結果、再利用に繋がります。それは、その存在を知るまでは、そんなものがあるとは知らないのですから自分で作るか、聞いてまわって教えてもらうほかないんです。でも、それまでメールを中心としたコミュニケーションをしているとメールを読むとは保証されていないし、見るタイミングは読み手の都合だし、見ても返信してくれる可能性がないわけで。もちろん、親切に、素早くリプを返してくれるメンバもいますがそれはその人の性格か以前それで助けてもらったことがあって相互にすればうれしいのだと経験をしているから、です。


それを、直接会話をすることで周りを巻き込み、ナレッジとして何でも溜めこむことを共有し合うことで、ナレッジの真の目的の再利用を促せるのです。今までは、一から自分で作るという仕事のしくみだったやり方を変えるんです。これは、効率化、ではなく、生産性の向上です。生産性の向上はしくみを変えないと出来ないことですから。


マネージャはしくみを作る
ワタシが着任するまでのしくみもあったわけです。ただ、ワタシが思うしくみではないものもあったのです。また、そのときどきの経営の要求は組織を変えていかなければその組織の存続のための貢献として応えられないわけですから危うくなるのです。


マネージャになった以上、givenとして経営から与えられたメンバという人的リソースで応えるのが仕事です。であれば、それに応えられるようにメンバが持っているスキルを理解し、ともに伸ばす観点を共有し、それを助ける環境を作ることが大切です。


組織である、チームであることからも、マネージャ一人では何もできないけれど、しくみを自分で試し、チームの協力を得ながら取り入れることはできるのです。


マネージャが勝手に期待していることはこの世に存在しないのですよ。その想いはチームと一緒に造り替えていくんです。