プロジェクトのコミュニケーションでの良い知らせと悪い知らせがあるんだけどどっちから聞きたい?


ここ数年?は、大型プロジェクトで炎上する、つまりプロジェクトが迷走してスケジュールの見直しが入っても改善せずに契約が履行できない状況になると日経BPあたりが喜んで記事をリリースしてれるようになった。そうした、所謂トラブルプロジェクトにクラスアップしてしまった案件を第三者が物申すに必ず出てくるのは意思疎通を起因とするものではないかと思うんです。例えば某の裁判でバズワードっぽくなってきた「中止提言義務等の問題点」の中止提言自体が相互の意思疎通を上に成り立つものだから。


こうした意思疎通はプロジェクト計画書を書き始めるタイミングからコミュニケーション計画の項目がプロジェクトチームの中で検討され、顧客と事前若しくは開始時に調整され、了承されて実行に移るモノ、だとは今時の、プロジェクトマネジメントであれば誰しもが考え、実行しているはずのものです。


プロジェクトのコミュニケーション計画には、対外的な意思疎通を働かせるフォーマルな会議体とプロジェクトチーム内のフォーマルな会議体、そしてインフォーマルな会議体に分けることができます。勿論、対外的なコミュニケーションでもインフォーマルな場も行われますが、得てして営業的な位置づけだったり、個人的なルートを活用した情報収集だったりするのでここではこれ以上扱いません。


良い知らせは、フォーマルな会議体は定義するようになったこと
そうした観点で言えば、コミュニケーション計画を作るようになってきたことは特にプロジェクトチームの対外的なインタフェースを明確にするものであり、責任分界点を表す一つの指標でもある、と考えることができます。


また、プロジェクト開始当初からコミュニケーション計画を立て、顧客と場の設定の合意を経て実際に顔を合わせるという行為は、マネジメントレベルが高ければ高いほど、将来望まないプロジェクトの進行を遮るトラブルの解決を経営レベルで判断するための場を設けておけるという保険としての機能が働くということでもあるのです。


ただ、こうした対外的なフォーマルな会議体であるコミュニケーション計画を策定することの意図を理解せずに形式的に設定する場合、会議体の目的が曖昧になりがちでその機能を果たせなくなり、結果、機能不全に陥ってしまい期待する効能が期待する場面で働かないという惨事を自ら引き起こすこともあるので会議体が機能しているかどうか定期的なアセスメントが必要です。



悪い知らせはチーム内のインフォーマルな意思疎通の場を意識していない
プロジェクトチームの中には、フォーマルな会議体とインフォーマルなコミュニケーションと敢えて識別するなら2つに分けることができます。フォーマルな会議体の例を挙げれば進捗会議や朝会などがそれに当たり、それは開催サイクルや出席者や会議体の主旨である開催目的を明示的に定義しておくものです。ただ、実態は、プロジェクトチームの中でのフォーマルな会議体の位置づけなので、外的要因で割り込みが入ると優先順位が下げられる傾向にあります。


プロジェクトのコミュニケーションの内、フォーマルな会議体はそれでもプロジェクト計画書には定義されるもので、それも以前よりはマシになったというよりは定義されるようになったのではないかと思うのです。それ以前は、暗黙で、明示しないけれどなんとなく慣習的に開催していたことが多いのではないかと思うのです。



プロジェクトチームのコミュニケーションのフォーマルな会議体は定義されるようになったけれど、インフォーマルなコミュニケーションの場はそれがインフォーマルなコミュニケーションであるが故に当然会議体には定義することはできないものです。それは当然のことなのでそれでいいんですが、チーム内のコミュニケーションの場がそれだけでいいかどうか、そこにフォーカスしたいと思うのです。


では闇雲にコミュニケーションの場を定義すればいいのかと言えば、会議で生産するのは判断と理解の共有でしかなく、動くソフトウェアは何も生まないものです。だから、増やせばいいというものではないのです。


けど、その時々でチームの中で、プロジェクトの進捗上、敢えて意思の祖語を生む気配やコミュニケーションのアンバランスな状況の片鱗が見られるなら、そうした流量の少ないコミュニケーションの状態を解消すべく、テンポラリに場を設定してしまうことが明示的に必要なのだと思っています。そうした場を敢えて明示的に設定するためには、プロジェクトの進捗などの報告や会話の中での独りよがりなポジショントークや壁を必要以上に作っている行動から察するほかないかもしれません。しかしそれを放置すれば、最初はプロジェクトチームの中で処理できたことが次第に大きな問題となって、最終的には顧客とのハイレベルな交渉になりかねないことだってあると思えばやらなくてはいけないことだし、そのような大げさなことにならないとしても、インフォーマルなコミュニケーションの場を持てるプロジェクトの文化を作ることでプロジェクトが進む方向へプロジェクトメンバの顔を自然と向かせることができる手段であるのです。


結局、インフォーマルなコミュニケーションの場も場合によっては期限付きなフォーマルな会議体もどきに格上げしてあげた方が全体にとっては良いこともあると思っています。