SIプロジェクトが失敗する理由


SIプロジェクトを構成するヒト・モノ・カネ・ジカンを誤ると契約した検収時期に成果物が間に合わず結果的に赤字プロジェクトになります。さすがに21世紀になって10年以上も経っているのだから、過去の事例から学び、同じ轍を踏まない道を選べばいいものを、何を好んで自らいばらの道を突き進むのか理解に苦しむプロジェクトも未だ絶滅しないのかはなぜなのでしょうね。


失敗したことだけが語り継がれ、そこに至るプロセスが共有されない
失敗したプロジェクトはそのプロジェクトの話題性においてネットで公表されることが多いですが、その失敗プロジェクトの当事者の中の人であったとしても、その失敗プロジェクトを主導してきた組織の関係者でなければ、なぜ、その結果に至ったかは知る由もありません。


失敗プロジェクトはそれの方が付けば教訓として格好の教材にされそうですが、多くは結果だけが組織の中で何らかの組織内ソーシャルネットワークを介して伝わるのがせいぜいです。そのあたりの、失敗して赤字になったプロジェクトに対してアクティブな活動をする組織なら、そうした失敗したプロジェクトの経緯を関係者にレポートさせるのでしょうけれど、そこまでやっている組織がどれほどあるのでしょうね。


失敗プロジェクトを教訓として教材にする、倒れてもタダでは起きないを地で行くには、「赤字になったから、失敗したから次は失敗しないようにしよう!」ではダメで、なぜダメかと聞かれれば「結果だけを伝えてもそこに至るプロセスがわからないから。」なのです。


だって、どうやったら失敗したかを知らないとプロジェクトマネージャが、今、自分でやっているプロジェクトへのアクティビティが失敗したプロジェクトと同じ道を歩んでいるのかどうか当てはめることができないでしょう。そういうことです。失敗プロジェクトのプロセスが開示されているなら、プロジェクトマネージャ自身が「どうもおかしい。うまくいかない。」と感じたとき、少なくとも失敗プロジェクトの過去事例を知るきっかけにはなります。実際、見る、見ないの話は別ですけど。


何度でも繰り返すプロジェクトマネージャ
不思議なことに、プロジェクトの契約金額のサイズに依らず、必ず失敗、若しくは、失敗ぽい?プロジェクトのルート固定のプロジェクトマネージャが偶にいます。その人がプロジェクトマネージャをやっている場合、そうそうと変更を要求するんですが。まぁ、マネージャがアレなんでしょう。


多分、日々の小さな失敗をすることに何ら疑問や危険性を感じないのでしょう。そしてその小さな失敗を積み重ねた結果を想像することができない。だから、見逃すんですねぇ。こうした一種のタレント性を持つエンジニアはプロジェクトマネージャにしてはいけないし、もしプロジェクトマネージャにアサインしたいなら、ガッツリとモノを言ってプロジェクトマネージャをコントロール出来るサブのプロマネかPMOを付けないとダメですね。


学習しないプロジェクトマネージャ
プロジェクトマネージャのスキルなんて、持って生まれたスキルではないです。だって、フレームワークであるPMBOKシステム開発手法のウォーターフォールも設計で使うドキュメントも全部後から習得しますから。そうしたプロジェクトマネージャに必要なスキルの習得は経験と意思を持った継続的な学習でしか身に付きません。


つまり、学習していないプロジェクトマネージャは、装備の実装も艤装の近代化改修もせずに戦火を交えるようなものです。それで期待する成果が得られるか、って話です。良くて小破、最悪は轟沈でしょう。


途中で失敗はするけれど直しながら成功させられるか
失敗から学ばない理由を書きならべてきたら「SIプロジェクトなんて成功する方が不思議だ。」と思うようになってきて思わず「危ない危ない。」と思ったわけですが、じゃあ、自分はどうしてプロジェクトを成功できたのかと思い返したら、日々、小さな失敗とその小さな失敗の修正の積み重ねのような気がしてきました。


艦これでいれば、作戦する→大破撤退する→調べる→近代化改修する→作戦する→クリアする→次に進む→以下(略


それは、小さな失敗をする→小さな失敗を修正する→別の小さな失敗をする→別の小さな失敗を修正する→のループをし続けてゴールに近づいた結果、その終点が成功のボーダーラインの内側だったのだと。


それは、プロジェクトの成功を100点を目指したものではなく、合格ラインの内側を適当なゆるさで着地させただけにすぎないんですね。日々のプロジェクトの中でのプロセスは明示的に定義して、守らせ、不具合が生じれば修正して。いつだって完全勝利を目指す必要はないわけです。ボスがゴールなのであればボスを突破でいればいい。プロジェクトとはそういうゲームなんです。ゲームだから試行錯誤して、失敗して、対策して、クリアせねば。それが出来なければ失敗しますわ。