これから先にどれだけ仕事が残っているのか知ってる?


プロジェクトマネージャから月次でプロジェクトの報告を聴くときには「(このプロジェクトは大丈夫そうだ。)」とか「(このプロジェクトは危ないかも。)」と当たりをつけながら気になることを一つひとつ潰していくようにしています。


進捗を聴く場なので、時間は限らています。だから、プロジェクトマネージャ自身が危ないと思っているところは認識していることを確認するのは勿論のこと、プロジェクトマネージャが気づいていないことを聴いてみて潜在的にあるプロジェクトのリスクを識別することにより重点的に時間を配分できるように心掛けているけれど、相手がいることなのでこちらからの質問のやり取りを交えることを考えるとなかなか難しいです。


こういった月次の場に出てくるプロジェクトマネージャは得てして「上手くいっていますよ!」と言いたいようで、そうした傾向は経験の少ないプロジェクトマネージャに多く見られるけれど、経験の少ない多いは年齢に関係ないから面倒くさい。どっちかと言えば、中堅を過ぎてからプロジェクトマネージャになったようなベテランエンジニア経由新米プロジェクトマネージャの方が確固たる自尊心を持っているのでちょっと突っ込むとすぐにムキになって「問題ない!」と言うんだもの。「(いやいやこの状態とってもヤバいですから……。)」なんて思うことはよくあることです。


ホントは、こういった場は週次(=1回/週)程度には持ちたいですが、それはそのプロジェクトのマネージャがしていればいいのですけど、そのマネージャ依存だし。そのマネージャが何を意識して聞くかどうかとワタシが関心を持つことは対象もレベルも違うし。とは言え、全部はそんな頻度で見れないし、プロジェクトマネージャの心理的なプレッシャも大変だろうし。


「じゃあ、このタスクは遅延しているんだ。」
「はい。でも今週末にはキャッチアップします。」
「(へー。)どうやって。」
「頑張ってもらいます。」
「今だってそこそこの残業をしているって聞いていたけど大丈夫なの。」

「ところでさ、今週頑張るとして、もともとの予定していたWBSはどうするの。」
「(はっ!)」
「でしょ。元々のWBSだってあるんだよ。それ『も』やらないといけないんだよ。」

「いま詳細設計の工程だったっけ。」
「詳細設計をやっていますす。」
「詳細設計っていつまでだっけ。再来月までだっけ?」
「来月までです。」
「この課題一覧をみるとさ、課題でオープンしたままのが何件もあるでしょ。」
「はい。」
「詳細設計を終わらすためにクローズさせないといけない課題ってどれ。」
「これと……これと……これと。3つですね。」
「ううんと、この1つ目は進展が止まっているけどどうなの。」
「顧客が判断に時間が掛かっているんです。」
「それは顧客の都合だけど、でも遅れたら開発する方もこまるけど、最終的に困るのは顧客だよね。」
「そうです。」
「なら、どうやって進められるかを考えないと。顧客にも遅れたら最後にはどんなインパクトが起きるのかを共有して理解してもらったらいいんじゃないかな。プロジェクトチームだけの課題じゃないから課題一覧に上げているのだし。」
「はい。そうします。」

「じゃあ、その遅れている課題の回答を受け取ってからどのくらいの作業日数が必要なのかな。」
「えーっと、どのくらいだろう。仕様を書いて、チームレビューやって顧客レビューするから1週間だと思います。」
「ほんとそれで出来るのかな。影響とかは見切れているの。」
「これは……見切れて…わからないです。」
「気にして欲しいことがあって。課題は返ってきたら、後工程があるんだよね。レビューとか。で、その前に返ってきた結果が他に影響しないかを確認して欲しいんだ。整合性をね、その時点で取らないと手戻になっちゃうので。あとね、回答を受け取ってからどのくらいの工期が必要なのかこっち側のリードタイムを今の内から押さえておいた方が良いよ。そのリードタイムを押さえるときにその作業をする予定の人が同じ時期に別の作業をしなくていいようにタスクのスケジュールを調整するか担当を変えるとかまで仮でいいからプランを変えるつもりでいて欲しんだ。」
「そこまで今の時点で必要ですか。」
「納期に終わらすことが見切れていれば必要ないかもね。でも今の工程の残りの、これから先の仕事がどのくらいの量で残っているか把握できていないんでしょう。メンバの負荷調整も怪しそうだもの。それが本当に怪しいのか楽観的でいいのかそれを知りたいんだけど、それ知りたくないの。」
「知っておきたいです。」
「じゃあ、わかったら教えてね。」


この先の残りの仕事の作業量を正しく把握していないといけないのはプロジェクトマネージャだけじゃないですけどね。チームのメンバも、です。そのためには開発プロセスがチームで共通に認識されていて、これまでの作業実績から作業時間をチームの誰が見積もっても大体同じくらいになっていないと。実際には、一番遅いメンバのパフォーマンスに引っ張られちゃうけど、そこはアサイン次第ですね。


どっちにしろ、残作業を掌握しておきましょう、ってことです。