プロジェクト計画書は「書かないといけない義務」ではなく「プロジェクトマネージャの頭の中を洗いざらいメンバに共有するための触媒」だと気づくまで


今時のITのプロジェクトでプロジェクト計画書を書くのは、その様式は別にして書くことは当然のことと思っていたら、それは自分がそれなりの経験でプロジェクト計画の必要性を体感しているからなんだなぁ、と改めて気づかされたのは何度目かな。

プロジェクト計画書は、プロジェクトマネージャがこれからプロジェクトに適用するルールを決めて、プロジェクトの運営をどうしようとするのかプロジェクトマネージャの頭の中に思い描いていることやまだ何も考えていないという事実を自分で知るためのツールであり、書き出したプロジェクト計画書をもって編成したプロジェクトチームのメンバへ頭の中で考えていることを洗いざらいぶちまけて理解してもらうための触媒なんです。


初めてプロジェクトを預かる新米プロジェクトマネージャはこれから初めてプロジェクト計画書を作るから、プロジェクト計画書を作る意味を体感として経験していないのでボリュームのある目次をみると「うんざり」してしまうんですね。


最近、初めてのプロジェクトをやりきったプロジェクトマネージャに時間を取ってもらってインタビューしてみました。

「初めてだったよね。プロジェクトマネージャをやったプロジェクト。」
「そうですね。それに大規模だったし。」
「でさぁ、初めてプロジェクト計画書を書いたでしょ。初めて書いたときはどう思いながら書いていたの。」
「書かないといけない、面倒なドキュメント、でしょうか。ページは多いし、初めて見る単語はあるし。書く意味が解らなかったです。」
「初めて見る単語って、多分、ISO9001のQMSが入り込んでいて、用語をそのまま使っているからかな。」
「そうなんですか。」
「うん。」

「それで、1つプロジェクトを終わらせた今はプロジェクト計画書ってどう思う。」
「必要ですね。」
「へー。どうして。」
「さっきも言ったけれど、今回のプロジェクトで書いたときは仕事の義務、書かないとプロジェクトをスタートできないから仕方がなく書いた、っていうか。」
「でも、書いたあと、プロジェクトを進めているうちにいろいろ悩むんですよ。トラブルは起きるし。メンバと意思疎通がすれ違うし。」
「それで。」
「自分が、プロジェクトマネージャがどうしようと思っているか、それを書くんです。」
「想いを書く。」
「プロジェクトマネージャの想いを書く。」

「と言うことは、初めは義務だと思いながら書いていたけど、今は、書かないといけない、いや、書きたい、っていう雰囲気なの。」
「まだそこまでは、その領域までは辿りついていないけれど。でも、そんな感じです。」

「初めて書いてみて、何か感じたことあるの。」
「そーですねー……。実は何にも考えてないとか、知らないことがいっぱいあるある、とか。」
「例えば。」
「システムを作るところはいいんですよ。そんなの何を作るかは見積もりで知っているので。だけど、実際のプロジェクトになるとそれこそPMBOKじゃないけどステークホルダがわんさかいて、その調整とか、メンバに作業してもらうにしても管理標準をどうするんだ、とか。」
「まぁ、そうだよね。作って、っていうだけでも、メンバからはどう作るか作法あるの、って聞かれるもんね。」
「はい。」
「で、お作法決めておかないとメンバ一人ひとりバラバラでつくっちゃうからね。」
「はい。手戻りになっちゃうので。」

「で、今ではプロジェクト計画書はどういう存在なの。」
「必ずつくるモノ、ですね。」
「変わるもんだね。」
「変わりますよ。だって、メリット実感しましたから。」


とうことで、プロジェクト計画書を邪険にしないでね。