プロジェクトの進捗遅れ1週間は、潜在的な大きな遅れを隠してしまう

「このプロジェクトの進捗状況は、1週間遅れ以内です。」
「ちょっと待って。このプロジェクトは先週やっとオンスケになりそうだったよね。何か見落としているんじゃないの。」
「いや、問題ないと思いますよ」
「うーん、なにか気になるんだよねぇ」
「大丈夫ですって」

「やっぱり気になるなぁ…、WBS見せて」
「報告日を軸に、計画開始日、計画完了日に対して実績開始日、実績完了日が未着手か未完了のWBSがどれだけあるか表示して」
「はい…、これでいいですか」
「ちょっと待って、なにこれ。未着手や未完了が大分あるけど」
「その代わりに先行して着手しているWBSが他にもありますから大丈夫だと判断しましたが」
「だから、ちょっと待って。その上から3番目のWBSなんて計画完了日から何週間たっているのよ。潜在的に大幅に遅延しているWBSがあったんだね」
「そうですが、他のWBSが先行しているんだから問題ないと思います」

「あのね、まず事実だけで話そうよ。キミの判断はプロジェクトの判断じゃないだろう。プロジェクトマネージャに見解を聞いてきてくれないかな」
「何をですか」
「遅れているWBSは、記入漏れか、本当に遅延しているのか。遅延しているWBSで計画完了日を超過しているもののデッドラインはいつなのか」

「聞いてきました。半分が記入漏れです。2件を除いて遅延しています。その1件は計画完了日を見直します、とのことです」
「半分くらいが遅延なんだ。それはそれぞれのWBSで1週間以内なんだね」
「そう…えっと、そうですね」
「で、残りの1件はどんな状況なの」
「2週間遅れだそうです」
「で」

「なにが『で』ですか」
「いやいや、2週間も遅れていると聞いたら聞くでしょう。『原因と対策は』って」
「聞いていません…」
「聞いてきて、というか心配にならないの」
「大丈夫と思っていましたから」
「あのさ、自分の基準で判断していたらプロジェクトごとでずれていっちゃうでしょう。WBSが手元にあるんだからまずは一律に定量的に観た上で、個別の状況を把握しないと」
「事実で情況を理解する、異常値は個別に原因と対策を聞く」
「はい…」
「キミに判断して欲しいのはプロジェクトマネージャの代わりとしての判断じゃないんだよ。そうしなければ客観的なプロジェクトマネジメントのモニタリングにならないのだから」


まで
今週の計画値は前週に比べて高かったでしょう。それで遅れているの」