上流工程をセッション形式で上手に運営するための解説


プロジェクトの上流工程、要件定義とか基本設計ではセッション形式で工程を回し、要件やシステム方式を決定していく手法をとります。そのセッション形式の成否は、セッションスケジュールをどう組み上げるかが鍵になります。もちろん、回ごとの資料の作り込みもうっかりするとセッションスケジュールが狂ってしまうので気を抜けません。


セッション形式とは
セッション形式とは、検討テーマを期間内に討議し、結論を導く手法です。例えば、検討が必要なテーマが10あり、期間が2ヶ月であれば、8週間の中で10テーマを議論し、結論を導き出し、最終の8週目には全体の合意を確認するようにします。


セッション形式では要件をお伺いしてはいけない
時間がたっぷりあり、機嫌もあってないようなものであれば、合意形成に至るまでご用件を伺って意見を収束させても良いのですが、昨今、そんな悠長なプロジェクトは存在しないし、何よりプロジェクトであれば有期限性の性質を持っているのでそういった運営はちょっと適当ではないです。



セッション形式は先の例のように、特定の期間の中で結果を導き出すときに使います。このセッション形式を選択したからには、期限内に検討し、導かなければならない結論を得なければなりません。


期限に結論を導くためには、セッションスケジュールを組み立てる上で、常時主体性が求められ、意志を持ったスケジュールと終わらせていく信念が必要となります。このセッション形式ではご用件をお伺いするようなやり方はとりませんしとってはいけません。なぜなら、お伺いするということはセッションスケジュールの主導権を渡してしまうということと同じことで、セッションスケジュールを自らコントロールできなくしてしまうということになるからです。


セッションスケジュールを刷り込む
セッション形式の第1回目では、参加メンバに対してセッション形式をとる工程の進め方を最終回まで刷り込む必要があります。なぜなら、セッションスケジュールのとおりに進まないと工程の期間内に終わらずオーバーランし、プロジェクトが遅延してしまうからです。


よくあるケースはagendaの中に日別のスケジュールを入れ、今の居場所、今日のテーマとプロジェクトの現在の立ち位置を共有して協力を求めたりします。

週/曜日
_ _ _ 定例会(キックオフ/テーマ1) _ _ _
2 _ _ _ 定例会(テーマ2/3) _ _ _
3 _ _ _ 定例会(テーマ4) _ _ _
4 _ _ _ 定例会(テーマ5) _ _ _
5 _ _ _ 定例会(テーマ6/7) _ _ _
6 _ _ _ 定例会(テーマ8/9) _ _ _
7 _ _ _ 定例会(テーマ10) _ _ _
8 _ _ _ 定例会(最終確認) _ _ _


この例でのでセッションスケジュールを守るためには、毎回のセッションに関係するメンバの出席は必須になるので出席出来るように事前の調整は必要になりますし、セッションスケジュールの各回で意思決定をしなければならないと関係するメンバが腹をくくらないといけないわけです。


その意味もあって、このスケジュールを刷り込まなければならないのです。


セッション形式での資料の作るコツ
限られた時間の中で物事を決めていくことになりますから、セッション形式で討議していく資料の準備はしっかりと準備して臨まなければなりません。資料作りがいい加減であったり、検討テーマの結論を導きだけないような不十分な資料であったとしたら、その回は失敗で、残りの回数で未決のセッションテーマをクローズしなければならなくなります。


そうならないようにセッション資料を作りこみします。

  1. 読み手が誰なのかを意識して資料を作る
  2. 図表、箇条書きを多用し、わかりやすく書く
  3. 用語の定義と用語を統一する
  4. 前提条件/制約条件を明らかにする
  5. 既知の情報から2−3案を提示しメリット/デメリットで優劣を示す
  6. 界面を判別し、双方のケースを示す



セッション形式を上手に運営するためには
セッション形式を上手に運営するためには、次のことに留意してください。

  • セッションスケジュールの元となるセッションのシナリオを作る
  • セッションごとに何を決めていくかを練り具体的なスケジュールのコマ割りに落とし込む
  • セッションスケジュールがうまくいかないケースのアクションプランを考える
  • セッション回の資料は事前に配布し、参加メンバに読んでおく時間を取らせる
  • プロジェクトファシリテーションを活用し、セッション時間をコントロールする