システムエンジニアと働き方と

「そう言えばさ、DevOpsのエンジニアってさ、フルスタックエンジニアより求められるスキル高くない?」
「そうみたいだね」
「求めるスキルがだんだんひどくなっているよね」
バズワードだからな」
「よく知らないんだけど、DevOpsのエンジニアってどこからどこまでできればいいの」
「インフラからアプリかな」
「全部じゃん」
「よく言えばプロフェッショナルエンジニア、悪く言えばブラックエンジニア」
「ブラックエンジニア…ゴクリ」

「でもさ、ブラックエンジニア、この場合は長時間働く意味での、だけど、それの方がいいっていうメンバもいるよ」
「今はなんだっけ、ライフワークバランスだっけ、長時間労働NGじゃない」
「21時を過ぎないと乗らないんだってさ」
「意味わからない」
「集中できないんだって。コード書くのに」
「日中に集中できる環境じゃないの」
「御多分に漏れず」
「じゃあ、朝早く来ればいいのに」
「今はさ、入退室管理も厳しいからな」

「なかなか集中して作業をするのってさ、難しくなってきたように思うよな」
「前のプロジェクトがものすごくデスマっぽかったので内部のミーティングをする時間を恣意的に固めたことはあったけど」
「どんなふうに」
「朝会するじゃん、月曜日に1週間の内部ミーティングを言っちゃうわけ。内部レビューは外部レビューの前日の半日より前にやるよって。その間で担当ごとに集中して作業する、みたいな」
「あぁ、可視化するんだ」
「あとは朝会と外部とのミーティングぐらいだから。まぁ、アーキテクチャーに関わるような仕様検討や作業プロセスの改善みたいなものも予定を決めてやってたね」
「でもさ、それでもリーダクラスは大変じゃないの」
「相互チェックよりは、お互いの情報交換に重点をおいてやってたよ。特にそれぞれのサブシステムの前提ってあるものなんだけれど、それをちゃんと伝えて、って」
「前提か。暗黙になりやすいよな。自分はわかっているからなおさらな」
「そうなんだよね、暗黙って後出しジャンケンになりやすいからね」
「それで集中して作業できるようになったのか」
「そうするまでは、時間をかけても終わらせることが優先だったんだよ。でもさ、続かないじゃん、体力的に。ミスも増えるし」
「当然と言えば当然」
「でさ、考えたわけ。どうしたらいいか、って」

「それで」
システムエンジニアが考えてアウトプットする時間を一番多く作らないと意味ないじゃん」
「成果はそこだからな」
「だから、考える時間を可視化するようにしたわけ」
「考える時間ねぇ」
「でさ、こういったんだよ。集中して終わって空き時間でも急ぎでもない仕事を詰め込んだりしない、って」
「それ誰も信じないだろう」
「最初はね。でも、実際詰め込まないから」
「で何かやらせたの」
「ケプトのTryとか手順の改善とか技術調査とかに使えって」
「そりゃいい」
「でしょう。いいでしょう。これの良さがわかる人は少ないんだよ」
「8−9割のプロジェクトマネージャーやマネージャーは急がない仕事を詰め込むからな」
「将来の作業の効率化を空き時間に考えてもらうんだよ」
「うまいことやったな」
「で、どうなったと思う」
「19時くらいには帰れるようになったとか」
「残念。18時に強制的に帰宅」
「そりゃスゲェ」
「これが本当のめざすところのライフワークバランスじゃない?」