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女騎士(SE)、PMになる

「では、この機能の仕様は対応をお願いしますね」
「はい(うーん、いいのだろうか。帰って上司に相談してみよう)」

 

「すみません、顧客から機能仕様の対応をお願いされたのですけど…」
「それで」
「とりあえず、『はい』と答えておきました」
「ばっかもーん!そんな返事をしたら受け入れたと同じじゃないか。あれほどスコープがクリープしないように気をつけろって言っていたのに」
「あ、すみません…」
「今すぐ行って断ってこい」

 

「あの…、先ほどの機能仕様の対応の件ですが…いまお時間いいでしょうか」
「なんだね」
「上司に報告したら、先ほどの機能仕様の対応はスコープがクリープ…じゃない、今回はできないと言われまして」
「何を言っている。議事の確認もしたじゃないか」
「でも、上司が…」
「あーダメダメ。その件はやってもらうから」

 

「そんな…訂正してお詫びいたしますので」
「お詫びなんて機能仕様の追加にならないんだからいらないよ」
「(あーどうしよう、こまった。これは会社に戻れない…)」
「キミはあれだっけか。プロジェクトで仕様検討を担当するのは今回初めてなのか」
「えっ、はい、今回初めてなんです。ですので、こうしたミスの場合どうしたらいいかも…できれば先程のはなかったことに」
「ガハハハ、そうか、それは大変だな」

 

「じゃあ…」
「そうはいかん。あれはやってもらう」
「そこをなんとか」
「よし、わかった」
「え、取り消していただけるんですか」
「それはない」

 

「えっ、だって今わかったって」
「キミは今から本物のプロジェクトマネージャに育ててやる」
「え、えっ、何言っているんですか。プロジェクトマネージャに育てるだなんて」
「何を言っているのかはこちらが聞きたいくらいだ。凡ミスをしたのはキミじゃないか。それも会議の決議事項として記録もしたんだ。相応の誠意を見せてくれないとな」

 

「誠意…」
「一人前のプロマネに育つことが誠意ってもんだ」
「いえ、その、わたし、会社でもプロジェクトマネージャはお断りしておりまして」
「ばっかもーん、そんなことだから客先で間違った対応をして二進も三進もいかなくなるんだ」
「それはそうなんですが」
プロマネの知識はSEには必要だからな。うちのプロジェクトで失敗を沢山して身につければいい。プロジェクトマネージャになるかならないかを選択するのはこのプロジェクトが終わるまで俺が預かる」
「(くっ、殺せ)」