伝えられるリーダはなにを「伝えよう」と組み立てているか

「この新規の案件、関係者に共有しようと思うのですが誰に伝えればいいですか」
「どの件だっけ、あーそれね。関係者は営業と開発責任者だよ。そうだなぁ(そのまま共有されるて誤解を生んでもキミのためにならないな)ちょっと、まとめたら一度見せてもらっていい」
「あ、はい」
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「できました。私のPCで確認しますか」
「ごめん、これの後に見るからメールで送って」 

 ひと段落ついたのでどれどれ、と。

各位
新規テーマの情報を共有します。
テーマ NW統合。テーマをマネージできるプロマネ。ネットワークのスキルが必要。
期間 次の四半期から
ここは現行保守をしているSIerがいますが、新システムのNWになるので積極的に取りに行きたい。ただ、現行SIerになるだろうと顧客の担当者も思っていると思われる。
詳細
 :
補足
これまでの仕様検討会の場で顧客プロジェクトオーナは既存SIerに拘らないと発言がありました。また、顧客PMはプロジェクトオーナの意向を汲む傾向があり、同様の発言をしています。

うーん、惜しい。これではもらった営業は悩むな。開発責任者もネガティブに取るな、あのキャラなら。さて、どうソフトに書き換えるように伝えるか…。

「さっきの件、ありがとうね。内容を確認したよ。全体はオーケー。だけど、関係者はこちらの仔細な状況まで知らないよね。これは大前提ね。それで、今回何を伝えたらいいと思う」
「新規案件の情報共有ですが」
「そうすると、だ。正しい情報を伝える必要があるよね」
「はい」
「そうするとさ、

テーマ NW統合。テーマをマネージできるプロマネ。ネットワークのスキルが必要。
期間 次の四半期から
ここは現行保守をしているSIerがいますが、新システムのNWになるので積極的に取りに行きたい。ただ、現行SIerになるだろうと顧客の担当者も思っていると思われる。

「この赤字の前までは事実で伝えないといけないところなので、○。でも、赤字にしたところは、 推測だよね、キミの。どう」
「そうです」
「確認した事実と推測、つまり私見は分けないといけないんだよ。今回の目的は」
「案件を関係者に伝えることです」
「だよね。だから、赤字前までは目的を達成できそうだ。でもね、赤字の文章は私見で、且つ、ネガティブな意見だよね。これを読んで営業が降りてしまったらどう思う」
「それは拙いです。提案することが目的なのに」
「だったら、ここは必要なのかな」
「…」
「事実かどうかで判断したらいいよ。次ね」

これまでの仕様検討会の場で顧客プロジェクトオーナは既存SIerに拘らないと発言がありました。また、顧客PMはプロジェクトオーナの意向を汲む傾向があり、同様の発言をしています。

 

「これは事実だよね。会議の場での発言でしょ」
「そうです。はっきりと言ってくださいました」
「じゃあさ、これお引越ししよう」
「どういうことですか」

テーマ NW統合。テーマをマネージできるプロマネ。ネットワークのスキルが必要。
期間 次の四半期から
顧客プロジェクトオーナは既存SIerに拘らないと発言があり。
顧客PMも同様の発言あり。

「最初の2項目と発言の行を足すんだよ。ほら」
「あ、なるほど…」
「これ全部、どう、正しい事実かな」
「そうです」
「でさ、ここであともう一つ足すんだよ(キミがネガティブに取られないようにね)」

テーマ NW統合。テーマをマネージできるプロマネ。ネットワークのスキルが必要。
期間 次の四半期から
顧客プロジェクトオーナは既存SIerに拘らないと発言があり。
顧客PMも同様の発言あり。

NWは現行保守をしているSIerがいますが、新システムのNWになるので積極的に取りに行きたい。

 

「どう」
「あー…そういうことですか。なるほど…わかりました。事実の後にどうしたいかを書けばいいんですね」
「でも、詳細も残しておきたいです」
「それはあってもなくてもどっちでもいい。折角書いてもらったけど、今回の目的の補助情報にしかならないから。おいおい必要かもしれないけど」

伝えられる人は伝える目的を理解している

もう、これに尽きます。だから、それが最短で到達できる道を見つけます。

メンバを指導する場合は

一人でやるのであれば、好きに話の構成を建てつけて、パパッと片付ければいいです。でも、メンバが主体でやっている場合は、伝える目的でくくり直してあげればいいですし、足らない情報があればいそれのヒントを出せばいいです。

このケースでは、目的を確認して、伝えようとしている内容を目的でくくり直しているだけです。もし、情報が足らなければ、ヒントを出して情報収集するように仕向ければいいのです。