誰が担当しても同じようにできる見積もりの作り方

作業の見積もりをメンバのひとりに頼むとメンバの経験値で次のように作業を見積もります。

見積もり工数=(自分だったらこのくらいでできそうかな)工数+経験値によるバッファ

 (自分だったらこのくらいでできそうかな)は、見積もりをしたメンバが自分に期待する予測値です。経験値によるバッファは、これまでに経験してきたプロジェクトの中で類似から導き出した経験知による安全係数です。

なので、メンバに工数を見積もりさせる場合、誰に見積もってもらうかにより工数の算出するパラメータが違うのです。

チームで見積もりをするとどうなるか

メンバが違うと見積もり工数が変わってしまうなら、そのメンバ以外が見積もった仕事をすると見積もりどおりにならないということになります。見積もりどおりになったら偶然でしかないのです。だって、(自分だったらこのくらいでできそうかな)という自分を基準にした見積もりなのですから。

そこでチームで見積もりをするとどうなるでしょう。これは実例(フィルターかけていますけど)なので、真似てやってみていただければと思います。

 環境

・資料はプロジェクタに写し同じ情報を見る
・ホワイトボードに見積もる作業を書き出す
・制約条件を列挙する
・見積もり対象の作業を書き出す。

進め方
・見積もり対象の作業の完了条件を具体的に書き出す
・納期を日にちで明記する
・インプット情報を具体的に書き出す
・プロジェクト内で類似する作業がないかを探し実工数を書き出す
・類似プロジェクトがない場合は同じ規模、同じ難易度の作業を探し実工数を書き出す
・技術的に中レベルのメンバをモデルにする
・モデルメンバが実施した場合の工数を各人が見積もる
・最大値、最小値のメンバの考慮事項の説明を聞き、書き出す
・見積もり対象の作業で考慮すべき事項であれば取り込む
・見積もり対象の作業ではなくプロジェクトで考慮すべき事項は課題管理に書き留める
・見積もり対象の作業の工数をメンバ全員で同意する
プロジェクトとしての留意事項
これだと、正味の工数=理想工数となり、特定のメンバが見積もりでしていたバッファが含まれていません。もし、トラブルが発生したら発生した時点で進捗遅延が確定です。それはそれで困ってしまいます。
ではどうするか。

チーム、つまりプロジェクトとしてのバッファを積みます。このバッファはメンバに預けるバッファではありません。悪魔でもプロジェクトのバッファです。それをマイルストーンの前に起きます。どのくらい置くかは、他の作業とリソース調整で決まります。目安は(例えば10%とか)持っておいても良いでしょう。

 

 

 

アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~

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