ルールに縛られて必要ないものまで作ってしまったら本末転倒ですから

アジャイルで開発を始めてしばらく経つんですが、色々と問題があって」
「そうなんですか。どんな」
「開発期間が決まっているじゃないですか」
「同じリズム、サイクルでスプリントを回すのですね」
「そうです。それでそのサイクルにいつもぴったり開発テーマがあうわけじゃないのでどうしたらいいかとか」
「バッグログリストを作って、必須の開発項目はここまでで、あとはベストエフォートでできるところまででいいんじゃないですか」
「そうなんですが」
「いつも期間にぴったりあう開発テーマにならないから詰め込んだスケジュールになったり、間延びしたスケジュールになったりして困っているということですか」
「そうなんです!」

 

「ところで、チームの中で開発のルールは決まっているのですよね」
「ええ」
「ところでなんでアジャイルの開発手法を選んでいるのでしたっけ」
「リリースを早くするため、です」
「そうですよね。だったら」
「はい」
「それが一番大切ですかね。チームとしては」
「それが要求されているので」
「じゃあ、バックログでスプリントの長さを調整してしまえばいいじゃないですか」

 


「いいんですか」
「一つだけ約束があって、今のスプリントの長さがリリースしたいサイクルにあっているならですが」
「はい、合っています」
「それをリミット、上限にします」
「上限に」
「そう、それ以上は延ばさない。上限。それで、あとはバックログの必須開発項目はいつも通りやって、ベストエフォート分は上限以内で収まる分だけ」
「それってぴったり期間にハマらなくても埋めないってことですか」
「そうですよ。埋めようとすると弊害も出ますから」
「でもそうすると空いた時間も開発テーマの期間を延ばして使ってしまいそうです」
「見積もりで開発日数はチームで見積もりを取るのでしょう。それはルールだから変えない。隙間時間ができたら、それは別のことに使えば。例えば、改善に当てるとか技術的なテーマに当てるとか。休みにしてもいいじゃないですか」

 


「いいんですか」
「だってリリースしたいテーマはそのスプリントでリリースできるんでしょう」
「そういうことになりますけど」
「じゃあいいじゃないですか。あと、上限としているのだからスプリントを短くしてもいいんじゃないですか」
「あ、だから上限なんですね」
「スプリントの期間に縛られるのもなんかおかしい話でしょう。期間に縛られると作らなくてもいいテーマを『期間に合うから』と選んでしまいますよ。実際、それをしてしまっているのでは。だから違和感を感じているのでしょう」

 


「それですね…なんかおかしい、問題じゃないかっていう感覚は」
「チームに合わせないと意味がなくなっちゃうというか、おかしくなってしまいますよ。開発のプラクティスはチームに合わせてカスタマイズしないと。ただ、プラクティスの本質を見失わないようにさえすればいいと思いますよ」
「ちょっとスッキリしました。なるほど」
「じゃあ」
「あ、このあと今日はお仕事おしまいですか。だったらちょっとだけ行きませんか。もう少し相談させてください」
「えっと、じゃあ少しだけ行きましょうか」