掛かる工数と充足できる工数の差を時間外で埋めてはいけない

某プロジェクトに途中に参画していたベテランエンジニアが担当になった仕事としては割と楽しい(ワタシの個人的な感想)部類だったけれど、引き継ぐ前任者が遅れに遅らした仕事という曰く付きでもあったのです。

一応、オブラートを包んで補足すると、前任者にはこちらから指揮命令権がないので進捗の遅れをどうこういう筋合いではないのでした。

それで、着任して状況把握をしてもらい、引き継いでやることは立て直しな訳です。はっきり言えば。

そこはベテランエンジニアですから、こうしたことには慣れているし、仕事の内容は地の利があるので安心してお任せできるのです。ただ、頑張りすぎてしまうのが日本人のエンジニアなのです。

案の定、情報を集め始めるとウンウンと唸りながら何かを作っているのですが、まあスケジュールですよね、普通。スケジュール作らないと予定がまさに立たないし。

前提事項を整理する

冒頭の補足説明で述べたように前任者からの引き継いだ作業なのです。これ、大事。なぜ大事かというと、

「手をつける前の時点はこういう状況でしたよね」

とスタートの状況がひどいよ、とおおっぴらにする必要があるから。例え、結果が期待に達していなかったとしてもそれはスタートがマイナスポジションを起点にして評価しないといけないので。

制約事項を整理する

前任者がいたということはそれまで色々と何かしら決まっている可能性があります。そんなの全部リセットしてもいいし、そうすれば、と言いましたがそうしないと言っていたので、そう選択をする場合は制約条件とするのです。

あと、スケジュールを引く際にもすでに決まっているマイルストンもあるのでそれもスケジュールを制限する事項ですね。

無理をしないスケジュールを引く

前任者が押しに押したスケジュールをこちらが契約以上をリカバリする筋合いではない、ーただ専門家としての善管注意義務は履行するとしてー、ので頑張りすぎないことが大事。

ここでの頑張りは、結果的に時間外労働として可視化されます。

時間外まで頑張らない、そうないことが大事なのですが、ベテランエンジニアは習性として頑張るんですよ。身に染み付いているのです。

本当面倒臭い。

時間内で頑張るのはいいです。それは専門家としてやってください。時間内で。

でも、時間外までは頑張らずにお家に帰ってください。その方が生産性が出ますので。

掛かる工数と充足できる工数の差を頑張りで埋めない

結局しなければならないのは無理をしない、できるスケジュールを引いて、どれだけの工数がかかるか、かかる工数のうち充当できるのはどこまでかを可視化するのです。

可視化するのは充当できない部分があるなら、その工数を誰かに代替してもらうためです。そうしないと終わらないので。

こうした費用の負担は発注元がすべきで、負担できないなら成り行きで進捗させることを許容しているのと同じです。それでいいならいいですよときちんと情報を出すのが専門家ってものです。