プロジェクト管理は誰がしたいのか

プロジェクトマネージャのお仕事は、管理をすることではない、と常々思っているのです。

 

プロジェクトマネージャはプロジェクトの目的を達成するためのリーダなのです。そこにプロジェクト「管理」と言葉を充てるからエクセルと睨めっこを始めたり、トップダウンといよりは現場を理解しないままに独りよがりの計画を押し付けるプロジェクト管理が横行するのです。

 

第一、管理という言葉は適当ではないと思うのですよ。語彙の2と3は圏外としても1番目の基準をプロジェクト計画に置き換えて読んだとしても、作った計画から外れないようにしようとするのが管理な訳です。

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かん‐り〔クワン‐〕【管理】 の意味
出典:デジタル大辞泉
[名](スル)
ある規準などから外れないよう、全体を統制すること。「品質を管理する」「健康管理」「管理教育」
2 事が円滑に運ぶよう、事務を処理し、設備などを保存維持していくこと。「管理の行き届いたマンション」「生産管理」
3 法律上、財産や施設などの現状を維持し、また、その目的にそった範囲内で利用・改良などをはかること。

 

じゃあ、どんな役割をすればいいの

プロジェクトマネージャの役割をひとことで言えば、プロジェクトの目的を実現する人、です。

それだけだとひとことすぎるので少し詳細にブレークダウンすると、

・プロジェクトの目的を理解して
・プロジェクトの目的を達成するために適切な手段を選び
・計画を立て
・計画を実行するためのリソースを確保し
・チームが機能するように立ち上げ
・実績を収集し
・計画と実績の較差の対策を行い
・経過観察から情報を得て更新し
・計画を見直し
・2番目に戻る

のが期待されているお仕事です。

まあ、そうですねという感じではないでしょうか。ここにはいわゆる管理作業は存在しないです。全部、プロジェクトが達成されるための作業ばかりです。

「管理」は誰がしたいのだろう

じゃあ、プロジェクト管理の管理はどこからきているのかということです。誰が管理したがっているのでしょう。

プロジェクトは誰のものか、を考えると思いつくのではないでしょうか。そうです、プロジェクトオーナのものです。多くは組織の中での事業責任を負う役割を負っていて、プロジェクトのスポンサーになっている人です。

なぜ「管理」をしたいのだろう

プロジェクトは投機ではなく投資ですから投下したリソースに対する見返りを期待しているので、計画通りに進捗しないと得られるリターンも得られないということになります。

だから、投下した資金が計画から外れないようにプロジェクトを統制したいのです。

あれ、この文章はどこかで似たものがありましたね。そう、管理の1番目の意味ですね。

プロジェクト管理と表現される場合、プロジェクトオーナからのプロジェクトに対するモニタリングと計画内で制御したいという意思が働くのです。

どうやって「管理」しようとしているのだろう

プロジェクト(を)マネジメント(する手法)をするために体系化されたのがPMBOKでこうした管理手法でプロジェクトから情報を収集すること(=レポーティング)で把握しようとするわけです。

PMBOKには様々な管理エリアがありますが、あれは全てプロジェクトオーナが定量的にモニタリングしたいKPIであると捉えるととてもスッキリするのです。ものづくりだけの考え方でやり切れるならシステム開発手法だけでいいのです。

ただ、そうすると投資したプロジェクトオーナはプロジェクトの状況をリアルタイムに把握することができず、システムが出来上がるまでお祈りするほかすることがなくなってしまいます。それでは必要なタイミングでオーナとしての責任を果たせないからモニタリングしたくなり、プロジェクトマネージャにレポートせよと指示するのです。

それが「管理」に置き換わるからエクセルと睨めっこばかりになって、報告用の数字ばかりすることになるわけです。

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