自分で考えて対処できるようにしたければ考える仕事をアサインし続けなければできるわけがない

相談は、困ったことが起きたら「自分で対応策を考えて持って来い」と言うことをカッコいいことだと勘違いしてあからさまに放言する管理職が以前より増えてきたと思うのですがそんな管理職や上司は周りにいませんかね。

まあ、勘違い管理職はいつの時代にもいたのかもしれませんが、そんな管理職の下になったら上手に手のひらの上でいい感じで転がしてどこかのタイミングでハシゴを外したいものです。

定型作業の特性とトラブル対処

知的生産性の高い業務へのシフトが言われて久しいような気がしますが、過去に経験していない事案への対処を考えると言う行為はとても難易度の高い業務だと思います。

一般的に組織の業務は、組織の規程で定められた若しくは内規としての運用ルールを定め定型作業を業務の特性であるサイクルで繰り返し行います。システム開発でも標準化や作業プロセスを定義してチームで同じように作業をするのは作業の標準化による作業品質の確保の狙いもありますが、繰り返し作業により労働集約と言う生産性の確保と言う狙いもあります。何れにしても定型作業化することが生産性の確保と確実な作業完了に繋がります。そうした定型作業では作業の仕方を覚えることが作業の熟練度を上げ作業スピードを上げるのです。

こうして行われる業務はまさに作業であり、基本的に考えて何かを作り出すと言う行為ではありませんから過去に未経験の事象が起きれば、過去に経験した類似の事例があればそれと結びづけ、対処方法を導き出すことは可能です。

でも、類似の経験があれば、です。

考える仕事も日常的に訓練しないと

 もし、普段の業務が繰り返しの定型作業しか経験したことがなければどう対処できるのでしょうか。

 

ある研修のデザインをしているときに、ワークショップ形式で演習を体験させ、未経験の事象をそのワークショップで習得させたい手法をやってもらおうということになったのですが、講師陣が集まって講座設計をしているところで、演習の体験方法に取れる時間が限られ決められたシナリオに従ってなぞるような手法のトレースになりかかっていたのでした。

その研修では手法を体験させることが狙いですが、もちろん、受講後は自ら率先して機会のあるたびに使ってもらいたいと思っていたのです。であるなら、写経をするだけでは講座の狙いは達成されない、と言うことに気づいて演習をした後にどう考えて何を習得したかを整理させる時間を確保しなければならないとして、演習時間の延長と他の説明の圧縮とその圧縮された分の補填をテキストで伝えると言うデザインの変更をしたことがあります。

話を戻して、管理職が部下に対して困っていることを自分の対処案を持ってきて相談に来いと言うなら、普段から裁量を与え、自分で対処するまで見届けるくらいのデレゲーションは勿論のこと、マイクロマネジメントはせずに日常の業務から考える業務課題を与え訓練するように業務アサインを仕向けてから物を言え、と思うのです。

 

未経験者に専門家のような対処をしろと言うのはDT=年齢のエンジニアにホストのようにもてなしことを要求するようなものです。そういった管理職は無神経に結婚しないのとか仕事に関係ないことまで土足で踏み込んできますけどね。

 

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