ハート軍曹と指示待ちエンジニア
プロジェクトマネージャにも色々とリーダーシップのスタイルはあるが、所謂、トップダウン型のプロジェクトマネージャの例を挙げると、先日無くなった「フルメタル・ジャケット」ハートマン軍曹や「愛と青春の旅立ち」のエミール・フォーリー軍曹なのかもしれない。
役職的には、ちょっと下すぎるけどイメージとして。
あるとき、まだ若手エンジニアがリードする会議の予定があって、その会議の準備状況を聞いてみたら、まあ、案の定、ほとんど無垢というか、そんなので大丈夫かレベルで。
この状況での選択肢は、問い掛けをして何が足らないとこちらが思っているかを考えさせながら会議の準備をしてもらう案とあれこれと指示をするマイクロマネジメント的な案の二つ。
若手エンジニアの勉強にもなるのでもちろん前者を選ぶわけですが。
やってというのは簡単
冒頭の軍曹スタイルのリーダシップは簡単だし、楽なんですよ。決まったやり方(若手エンジニアの会議準備の場合はこちらが考える会議運営)をその場で説明して、その通りに準備させ、会議の進行もその通りにやらせる。
全部、指示してやらせる。
その指示には若手エンジニアが考える余地はなく、こちらが考えた台本通りにオペレーションするだけ、です。
台本からずれれば間違いを指摘し、間違わなく出来るようになるまで(時間があれば)繰り返し練習をさせればいい。
ほんと、オペレータなんですよ。軍曹の。
指示通りに出来ることも大事
ただ、こうした指示してその通りやらせるのも全くダメというわけではないですよ。
軍曹が候補生が技術を身につけるまで繰り返し指導するのは、最悪、候補生たちが死んでしまう可能性があるため、そうならないように基本を教え込んでいるんですね。
システム開発でもそうです。システム更改で移行作業での本番切り替えは手順書通りにやらないといけないし、手順書と違う現象が起きた時点で作業を止めてプロジェクトマネージャの指示を仰がなければならないです。現場のエンジニアが勝手に判断してはいけない。絶対。なぜなら、異常を無視して続けて作業をすることで本番環境に影響を及ぼしてしまう可能性があるから。
ただ、弊害の方が大きい
命に関わるとか操業に影響が出るなど決まったやり方をやらないとまずい現場もあります。
ただ、いつも指示ばかりしていては、指示をされる側のエンジニアは命令を待つことが仕事になってしまうのですよ。
ここがまずい。
軍曹なプロマネがいつまでもいるとは限らないし、組織の中ではいつかいなくなるものです。
そのとき何が起きるかと言えば、口を開けて指示を待つエンジニアです。雛のまま大きいお友達に育ってしまい、自ら考えることができなくなってしまったエンジニアがあなたの周りにゴロゴロいませんか。
エンジニアだって気をつけないと。自分で考えて行動できないエンジニアになってしまうとキャパ超えて指示され、パンクしますしね。
どうやるつもりか教えてもらう
冒頭の若手エンジニアにどう接したかというと、どうやるか教えて、と。ひたすらどうするつもりかを根掘り葉掘り聞いていく。
時間配分、段取り、想定問答、セッションごとの目的(=ゴール)。
まあ、何も考えていませんね。大項目、つまり、議題だけ並べているだけです。そこをどう進めていくかを質問をしながら考えさせる。
自分で考えないと自分で作った台本にならないので。
練習をさせる
このくらいで準備はいいかと思えるくらいまで具体化できたら、同じ時間を使って、声を出して一人で練習をするように言います。言いました、か。
実際、声に出してみないと本当の時間配分が実感できないですし、アドリブで話そうなんて思っていたら、その場面にならないと頭真っ白になりかねないですし。
手間ですよ
ほんと、手間です。でも、こっちの選択肢の方があとが楽です。独り立ちできるので。