1つの場所で40年働き続けるなんて考えなくていい

新卒からエンジニアで採用されたとき、40年この会社で働くとか、転職するとか、これっぽちも考えなかったし、思いつきもしなかった。

成りたかったエンジニアで採用されたので、エンジニアの仕事ってどんなことをするんだろう、とそっちの方に興味があったわけだ。裏返しで言えば、働くことについての知識が皆無だった、のかもしれない。それについては否定しない。実際、そうだったのだから。

子どもがそろそろ職業について考える時期が来るのだが、自分の子どもと比べても働くことについて無防備だったとしか思えない。人気のあった研究室に偶然入れたし、働き口もすんなりと決まってしまった。あまりにすんなりと決まってしまったのでそれはそれで「これでいいのか」ともう1社コンタクトしようとしたが結局止めた。何事も、初めてしまったことを止めるのは始めるより量力が掛かることをなんとなく学んだのはこのときだ。

今の時代は東証一部上場企業でも安心していられない。あっという間に経営がおかしく成り、事業の切り売りや外国資本の傘下となる。

ただ、こうしたことに対して驚きはしない。なぜなら、入社後すぐに経営統合がなんどもあったり、資本参加があって経営権が変わったりと身を以て経験しているからだ。平のエンジニアには全くもってあれこれ言う権限はない(労働組合は何か言ったのだろうが)ので日々、持ち場で仕事をするほかないのだが。

そう言えば、1度経営的にかなりやばい状態になったときがあって、所謂、希望退職を募ったことがあった。当時のマネージャは「(継続して)働くよね」と言ってきたし、慕っていたマネージャだったので「毒を食うなら皿まで」と意味不明な回答をして同じ会社に留まった。他の部署では希望者が何名いるなんて聞こえてきたとき、そのマネージャは「辞めさせてどうするんだ」と呆れていた。SIerのビジネスはエンジニアのリソースで成り立っているのをわかっていたのだ。売るもの減らして何が経営再建か、と言うことだろう。

そのあとロクに役に立たないままでエンジニアを続けさせてもらって、プロマネを目指すようになってからは他のエントリに書いてあるとおりのでここでは触れない。

エンジニア業を始めてまだ30年くらいのひよっ子だが、たかが20年の間にこれだけのことがあったが、どれだけ予測できただろうか。まあ、無理だ。

1つの40年働き続けることなんて考えなくていい。と言うか、無駄だ。どちらかと言えば、今の年代になってからの方が転職しても構わないと思うようになったよ。

まずはコードを書いて、文書を作って、チームで共有して、チームを育てて、プロジェクトを成功させる。そのときどきで思うことも、感じることもあるだろう。

そのとき、別の場所で働きたいと思ったらそうしたらいい。でも、自分みたいに最初に見つけた場所が勝手に進化してしまうこともある。

働くと言うものは面白いものだ。

 

 

「やりがいのある仕事」という幻想 (朝日新書)