新メンバだけのチームで失敗できないプロジェクトマネジメント(経験談)

野暮用で00年代のプロジェクトの情報をひっくり返したのだが、これがまた、今更ながら良くキャリーしたなと。若さとは何事もやり遂げるバイタリティの1つの要素なのかもしれない。

いつもよりちょっと長め。2倍くらいの分量。

プロジェクト概要

みなさんがプロジェクトの背景を理解するために。

  • 他のメンバが考えた机上のソリューションのモデルはあったが、実績はなかった。つまり初案件。
  • プロジェクトメンバは誰一人一緒にプロジェクトでデリバリしたことがなかった。面識があったメンバが数人。
  • チームは、社員とパートナーで編成。
  • 地方の遠隔地プロジェクト。
  • 当たり前だが、プロジェクトなので作って解散。継続的改善なんぞそんな悠長なことをやってられない。改善が必要ならプロジェクトの中で解決する必要がある。

開発方針(のようなもの)

開発方針を説明した記憶がない。今ならするだろう。なぜなら、同じバスに乗ってもらわないければならないからだ。

  • ソリューションのモデルは概念としてだけ取り入る。ソリューション自体は、業務知識を持っていたので考え方はわかっている。モデルをどうデリバリに繋げるかの組み立てさえできれば良い。
  • 提案仕様と成果物からWBSのざっくり展開。これを作りたい、他に作らないとメンバが困るものをメンバに提案してもらう。導入手順書や開発メモといった、中間生産物のようなものだ。
  • コミュニケーション大事。遠隔地なので開発拠点を不在にすることが出てくる。不在中に手が止まってしまうことは進捗上は困るわけだ(現実にはほとんど心配がないことだが)。そういった心配事は上の全体WBSを渡しておけば次にやることはメンバが自分で考えてくれる。
  • チームのリポジトリと組織のリポジトリ。プロジェクトのリポジトリを作る。全部、センター管理することでプロジェクトのナレッジを共有できる仕組みを作っておく。現実には自分のタスクにならないと関連文書なんて見ないだろうが、見たいときに見れる環境を作るのは大切。

実際にやったこと

作業プロセス

  • 上流工程(要件定義、基本設計)のうち、要件定義からデータ設計を開始するなど上流に決め事をきちんと決めていく。決定を躊躇すれば顧客も詰める。
  • これは開発での制約もあったため。
  • 契約がある以上、実績のないモデルより、成果物を作るためのWBSを展開して、メンバと一緒にWBSを作っていく。プロジェクトの主役はメンバ。

コミュニケーション

  • プロジェクト開始から朝会を毎日実施。ほぼ「初めまして」メンバだったので、プロマネがやりたいことを理解してもらうことが大事。
  • 逆に、メンバがああしたい、こうしたいを取り入れることも大事。
  • 今思い出してみても、どうして最初から朝会をやろうと思いついたのか思い出せないが、それまでの経験で、『トラブってから朝会をやるなら、最初からやればいいじゃん』と思っていたのだろう。
  • プロジェクト全体のWBSを毎朝配布。もちろん、WBSに進捗実績を反映するのはプロマネのお仕事。
  • 今のアジャイル開発の朝会と一緒で、『昨日やったこと」「今日やること』『困っていること』を(当時アジャイル開発はまだ知らなかったが)朝会で共有。
  • 前日に更新したWBSを全員に配布して、今チームが『どこにいるか』とを共有。プロジェクト全体のWBSを毎日配布することで、今やっている作業じゃなく、次の作業、次の工程を刷り込もうと思っていたのかもしれない。 

作業見積もり

  • WBSで成果物を分解したあと、作業工数の見積もりが必要だが、開発工程からは割り込みがない理想時間で見積もったら何時間で終わるかでスケジュール化。
  • これは個々のWBSにバッファを持たせるのではなく、開発工程(つまり、プロジェクトチームとして)という全体のバッファにまとめておきたかったため。
  • このプロジェクトの前にToCの本を読んでいたことが実務で活かされたのだろう。これでチーム全体で前詰する環境ができたし、メンバは理解して協力してくれた。

WIP

  • チームメンバのスキルセットとして難易度の高い開発テーマをアーキテクトに集中させていたが、想像のとおりアーキテクトがボトルネックになった。
  • 当たり前である。原因はプロマネがそうなるように仕向けた結果だ。
  • 毎朝朝会で実績を確認しているので進捗遅れが後続作業を先送りしてまうプレッシャを一番感じていたのはプロマネ自身だ。ヤバさを感じ、これ以上耐えられなくなるタイミングで後続作業を剥がし、他のメンバの希望者にやってもらった。
  • なんだ、最初から全員でやればよかったのだ。

プロマネに必要なこと

  • プロジェクトを終わらせようする意思。
  • 成果物を確認するまで気を抜かない。やったは信用しない。信用するのは成果物だけ。
  • 成果物を作ってくれるのはメンバ。メンバが成果を出せる仕組み、環境を作る。
  • 大局的には悲観的に、日々は楽観的に。

 

 

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