IT企画はホチキス屋さん

自社で製品やサービスを売っている事業会社は、事業企画やIT企画を持っており、そうした部門が事業をリードするケースが多い。恒常的に人が足りず、兼務が常習化しているので必然と事業企画側に人を配置するので、IT企画の人が足りずSierに逆出向の体でエンジニアを受け入れる。

良いとか悪いとかではなく、そうしないとITが放ったらかしになり、社員が日々使う道具が陳腐化する。陳腐化するとどうなるかというと新しい技術ならやらなくて良いことをずっと続けるということである。例えば、今時のファイル共有ならドラッグ&ドロップと権限設定の2−3の操作でできるものを、ファイルのアップロード、権限設定となるとファイル単位の操作がファイル分繰り返される。全社員で。

いまだにファイルのアップロードなの、とツッコミがありそうだが、世の中そんなものである。組織で使うものより、個人が使う道具の方が何倍も進んでいる。PCの性能なんて、その典型ではないか。自分のPCの方が早くてメモリも多い。

話を戻して、SIerからIT企画にエンジニアを出すと、立場が向こう側に行く。日頃見えない景色が広がっているものだ。華やかで楽しそうで…それはこちら側から見ていたかにすぎないのだが。

事業会社側のリソースになれば、それはそれで大変なのは以前に書いたような気がする。なにせ自社の事業であるから好き嫌いで逃げられない。ましてやプロジェクトが終わったら、ハイさようなら、ができない。プロジェクトが終わったらエンドユーザの相手をするのはそれを企画した人のお仕事である(さらに業務運用を委託することもあるが)。

SIerのエンジニアがそうしたIT企画行に染まり始めると今までと違う忙しさと知識と仕事の仕方を覚えなければならない。課題創出、企画化、業務調整、社内稟議、プロジェクト化、業務運用などSIerのエンジニアではそれまで知らない世界の仕事をやらなければならない。

仕事なので『やるんだよ』で済ませて構わないが1つ問題が出てくる。課題解決のために技術動向は詳しくなるが、それを実装する技術が身につかない。極端な言い方をすれば、社内に通すためのお作法しか身につかない。採用する技術は概念だけしか知る由もない。それは実装するSIerサイドに残る。

エンジニアの目線で言えば、そうし立ち位置で何を身につけるか、SIerのエンジニアだった頃より意識的に取り組まなければ、資料を集めてパワポに貼り付け、コピーをステープルするホチキス屋さんになってしまう。

事業会社の社員であればそれで良いのである。でもSIerからの社員代替であるから、いつかは元席に戻される。

そのとき、そのエンジニアに何が残っているのか。

そして、それからどの道を歩むのか。

ある意味、レガシーな大規模システムの維持管理にも通ずるものがある。ただ、ステープルしている間は、コードに触れることはない。

 

 

 

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