社外に出ようと若手エンジニアに言う前に

中堅エンジニアの方や若めのマネージャに若手エンジニアの育成をどうするかを尋ねたことがあった。そのときに多かった意見は、

  • 若手エンジニアがどうなりたいかを知る
  • 社外を見るようにいう

など出会った。前者からは、若手エンジニアの持っているだろう将来像を尊重したいという気持ちを持っていることを確認できる。

ところが、である。2点目はどうして外を見せようとしているのかを尋ねてみるとちょっと予想したこととは違う答えが返ってきた。てっきり、なりたい将来像になりやすいカリスマエンジニアは社外にいるからかと思ったら、そうではなかった。逆説的には正しいのであったが。

ところで、こうしたディスカッションをした方々の所属する組織でのエンジニアのキャリアパスの実情をぶっちゃけて話してもらったところ、実ははっきりと示されていないケースが多く見受けられた。

イメージを掴むためにもう少し踏み込んで教えてもらうと、ほぼないのと一緒なのだという。尋ねた側としては、ITSSv3程度のエンジニアの種別のレーン(あれは専門に分け過ぎているのでやりすぎだと思っているし、エンジニアの育成においては蛸壺に追い込み兼ねないので運用するにはレーンを再度纏めてくくり直す必要があると思っている)があるではないかと誘い水をしてもそうなっていないという。

自分としては、エンジニアのキャリアパスは乱暴に言えばアプリとインフラ程度のレーンとそれにバンドを設ける程度で良いからキャリアパスを示さなければ、組織の中にいるエンジニアの評価を実質できないと考えている。

まあ、組織がフラットで、評価者が一人であればその人がある意味キャリアパスの基準となるわけだが、今風のエンジニアリングマネージャを複数おこうと思った瞬間、評価基準がずれていくことを覚悟しなければならないだろう。

話を戻して、である。

根掘り葉掘り聞いてみると、モヤっとしたエンジニアのキャリアの先にあるのはスーパーエンジニア(表現が古いか)なのだという。とにかく、ずば抜けたトップエンジニアを目指そう、くらいでそこまでに到達するパスも道筋もないのだという。

だから、社外に行き、中間層のエンジニアを知り、途中のイメージ像を作らせたいということだった。

エンジニアの技術や経験は標準化できるようなものではないから、キャリアパスを示したところでそこに書かれている通りには一人も育たないだろう。

それでも必要なのは、組織が必要とするエンジニアのバンドでロールを示すことである。組織は必要とする人材の種類をパスで示し、その実力に応じたロールを示すことでエンジニアのキャリアを示さなければ、必要とする人材もロールも得られないのである。

もし、組織のパスがなければマネージャがたんとビジネスにおけるパスを示し、ロールを可視化した方が若手エンジニアは付いて行きやすいと感じるだろう。

 

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