平成最後のプロジェクトマネージャ試験問題を読み、答えなさい。

あなたは厚生労働省で毎月勤労統計調査を主管する責任者である。今般、毎月勤労統計調査におけるプロジェクトマネジメント上の問題により統計に対する信頼が失われた。

以下の設問を読み、本プロジェクトの対策を記述しなさい。

なお、設問の出典は『毎月勤労統計調査を巡る不適切な取扱いに係る事実関係とその評価等に関する報告書』を一部改変したものである。

 

問1 「毎月勤労統計調査」とは、規模500人以上の事業所については、「抽出率1/1」(「抽出率」とは、母集団に占める調査対象事業所の割合をいう。)又は「全数調査」である。

 

平成15(2003)年5月22日付で「毎月勤労統計調査全国調査及び地方調査の第一種事業所に係る調査の抽出替えに関する指定事業所の決定及び指定予定事業所名簿作成要領」において、「事業所規模500人以上の抽出単位においては、今回から全国調査でなく、東京都の一部の産業で抽出調査を行うため注意すること。」の事務連絡を受領した。

 

あなたがプロジェクトマネージャであったら、何をおこなったかを書きなさい。

 

 問2 平成20(2008)年調査までは、東京都と他の道府県(全国調査分)の抽出率は同一であったが、平成21(2009)年調査から、東京都と他の道府県(全国調査分)の抽出率が、一部の産業で異なることになった。しかしながら、東京都と他の道府県とで同一の復元倍率を用いて復元を行ったため、正しい復元がされなかった。以降、平成29(2017)年調査に至るまで、復元方法についてプログラム上必要な改修がなされず、正しい復元が行われなかった。

 

あなたがプロジェクトマネージャであったら、何をおこなったかを書きなさい。

 

問3 年報に変更が記載されなかったことについて関係者にヒヤリングをおこなった。ヒヤリング内容には以下のような発言があった。

  • 「そもそも全数調査だと思っていた。」
  • 「知らなかった」
  • 「齟齬があるという認識はあったが、東京都は数が多く例外的であると考え自己満足していた。」
  • 「そもそも年報に調査方法の全てを事細かに書かなくてはいけないと考えていなかった。」
  • 「当時、変えた方が良いと思ったが統計委員会とか審議会にかけると、問題があると思った。何かの改正に併せて、やろうと思ったが、できず、忸怩たるものがある。」

あなたがプロジェクトマネージャであったら、何をおこなったかを書きなさい。

 

問4 平成16(2004)年以降の東京都における抽出調査の実施に伴い必要であった復元処理が実施されなかった。ヒヤリングを行なったとおころ、次の実態が明るみになった。

 

抽出替え等によりシステム改修の必要性が生じた場合には、企画担当係とシステム担当係が打ち合わせをしながら、必要な作業を進めていくが、その際にはすべての仕様をペーパーで依頼する訳ではなく、口頭ベースで依頼することもあった。なお、毎月勤労統計調査については、具体的なシステム改修関係の業務処理は係長以下で行われ、一般的には課長や課長補佐が関与しない。

 

あなたがプロジェクトマネージャであったら、何をおこなったかを書きなさい。

 

問5  同ヒヤリングで以下の証言を得た。

一度改修されたシステムのプログラムの該当部分は、それに関連するシステム改修がなされない限り、当該部分が適切にプログラミングされているか検証されることはない。

 

あなたがプロジェクトマネージャであったら、何をおこなったかを書きなさい。

 

 

2019 徹底解説プロジェクトマネージャ 本試験問題 (本試験問題シリーズ)

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