声の大きい人もしくはリーダ的な人の仕事を上手に取り上げる

良いと思って導入したプラクティスが機能しない。おかしい。このプラクティスはチームの内情を可視化したり、スループットをよくする筈ではなかったのか。カンファレンスやスライドで共有されているような効果は感じられないな、うちには合わないんじゃないか。これもまたダメか。

もし、現場でこのような事象が起きていたら、そのプラクティスを導入した人はどんな立場で、そのプラクティスをどのように運営しているかを観察してみよう。

それがあなた自身だったら、なぜ導入しようと思ったか、どのように運用しているか答えられる筈だ。ただ、導入した理由も、運用も答えられたからと言って、導入して解決したかった理由を解消できるような道具の使い方をできているかといえばできていないし、これから他のプラクティスを導入しても何も期待するものは得られないだろう。

例えば、朝会や昼会のようにデイリースタンドアップミーティングを導入し運営しても、一向にチケットが進まない、進捗が進まない言い訳じみた説明ばかり聞く、メンバが積極的にならないなどの症状がみられたとする。

原因は何か気づいているだろうか。

原因の1つは、声の大きい、そのデイリースタンドアップミーティングを仕切っているあなたにあるかもしれない。

可能性があるなら、あなたは一度、デイリースタンドアップミーティングの立ち位置を変えてみたらどうだろうか。

どうせ、今は期待するような効果を得られていないのだから、それがあと1週間続いたとしても何も変わらない。

だったら、変えてみよう。

1つは(あなたはそう思っていないかもしれないが)あなたの大きな声を黙らせることから始める。運営をチームのメンバに全部任せよう。

もう1つ、物理的に立ち位置を変えてみる。デイリースタンドアップミーティングをやる輪から2−3歩引いて全体をみられる位置に下がって観察しよう。

これはデイリースタンドアップミーティングを別のプラクティスに置き換えてもいい。

2−3歩引いた位置からでなければ見えないこともある。

それも1つの収穫だが、声の大きい人はリーダ的な発言や場を仕切りたがる。それを剥がすことも必要である。面と向かっては言い出しにくかったり、導入した期待する効果を得られなければ、輪番制にするなどと恣意的にメンバに移譲させる。

あと、あなたは任せたのだから、論評をすることも控えよう。それでは変えた意味がない。論評したくなった理由の真因を確かめ、それをどうしたらチームから遠ざけたり、回避させることができるかを考える方に注力した方が良い。