信頼貯金の残高が尽きてチームに起きること

あるチームにjoinしたとき、某エンジニア氏(以降、某氏)はあるテーマを担当していた。勝手に耳に入ってくるタレコミでは、その数年前からそのテーマをやっていて本人はそのテーマで仕事をしていきたいと考えていたようだ。

joinする1年前に某氏の担当するテーマを別のステークホルダが入ってきた。当初、某氏は協働してテーマをやって行こうと働きかけたらしいが、ステークホルダはどう返したかは聞いていない。ただ、某氏は働きかけたよね、という声を聞いている。

自分がjoinした1年後に何が起きたかというと、某氏はそのテーマを降りることを決めた。

これまたタレコミではあるが(望みもしないのに勝手に耳に挟んでいく人がいるのは仕方がないことか)、某氏は某氏が降りたのはステークホルダのせいであると言っているらしい。

双方や周囲の関係者や当時のマネジメントから直接聞いたところを勘案すると、

 

 

 

  • ステークホルダからその活動テーマに対するプロジェクトチームに対しての振る舞いが不十分だった嫌いがある。体制図を見せるだけではなく、期待する役割、分掌と意思決定のプロセスと場を定義する必要があったのかもしれない
  • プロジェクトチームの中で2人はそれぞれの意思で振舞っていた。特に、某氏は以前から担当していた部分は自主的に自分の担当だとして対外的なインタフェースまで取っていた。それは、某氏はその前から自分が担当だと思っていたままだったことに起因する。結果、某氏は良かれと思い行動したことがステークホルダには余計なことをしているように見えていた。
  • スケジュールや体制表があったらしいが、結果的に某氏はそれを理解していないままでプロジェクトはスタートしていた。全体の進行、各人の裁量の範囲、プロセスへのコミットはチーム全員から取り付ける必要があった。
  • 体制図で役割と責任は明確なはずだったが、その分掌の実行において責務を某氏は果たしていない嫌いがあった。聞くところによれば割と些細なミスをなんどもしていたようだが、それをステークホルダは作業品質が悪いと解釈していたようだ。それは結果的に某氏がステークホルダからの作業に対する信頼貯金の残高をマイナスにしていた。

最終的には信頼貯金が底をついた。信頼貯金が尽きることは、チームにとっても某氏にとってもステークホルダにとっても不幸である。

多分、ステークホルダはしゃがみこんで某氏の目線に合わせる必要があったのだろうし、某氏は、ステークホルダの顔を見て何をするかを先に話せばよかった。

 

その2人に必要だったのは、なぜチームで仕事をするかを話すことだったのではないか。