エンジニアと組織にカルチャーが必要な理由

ある組織で行動理念が作られて見せてもらったら、まあ、これでは社員の方はこれをみてどう行動を正せばいいのか役に立ちそうもないな、と思ったことがある。

行動理念は組織の価値観を表すものだから、社員はもちろんのこと、派遣さんも、(できれば)業務委託さんも、その価値観に共感してくれる人と仕事をしたいと考えるのは自然なことだ。職種は違えど、同じ場所で、同じ業務をするのに、違う価値観であることがわかっていたら、多分、どれだけ優秀だっとしても(社員や派遣さんであれば採用)契約しない。たとえどれだけ優秀でも。

なぜかは推測できると思うが、働く上での共通の価値観を持っていないと、仕事をする上で、仕事上の価値観の違いがあちらこちらで邪魔をするからだ。特に、コンセプトに近いレベルでは、会話する内容がふわふわしたもののイメージを話すので合意しにくいし、意思決定するときの軸自体が合意するまでに時間の半分くらい使ってしまったりする。

念のために書いておくと、個人の価値観ではなく、その組織で働く場合に持ち出す判断基準である。個々人は、それぞれの意思で物事を判断されて、行動されるのは一向に構わない。ただし、業務においては、その行動理念という軸で判断することを求める。

この軸で判断するというのは合わせる、という意味ではない。自分の行動は、そもそも理念に基づいて行動しているかが問われる。

行動している人が問われるのではなく、行動が価値観を具現化しているかを問われる。だから、どれほど素晴らしい技術を持っていたとしても、価値観が合わない人は迎えられない。

こういった意思決定の軸が明示され、日頃から自分の行動が価値観に基づいて行動しているかを自問するようになると、価値観のズレを理由に自ら組織を離れることを考えられるようになる。つまり、価値の軸と行動がズレ始めれば、誰からみても明らかであるし、一番ズレを感じるのは自分自身である。

結果、自ら自分の価値観に合う組織に移るようになり、価値観のズレた人は自然の力が働く。

まあ、どれだけ頻繁に意思決定の軸である価値観を繰り返し刷り込み、振り替えさせるかが鍵なので、スライドや額縁に飾っておしまいな組織ではできない話なのである。