業務運用を作れる価値

担当になった業務の現状を聞いたら、なんというか、まあ、ダメダメだったので一から、ではないこともないが、結局、その業務の後ろ盾になる規程やら付属の様式やら規程を運用することで実現したい業務そのものを全部作り直すことになってしまった。

その業務をなんとかして欲しいと要望されて、やったわけだが、作り直す前の諸々の成果は何一つ残っていないのだが、前任者たちは何をしたくて、規程やら様式やらを作ったのかと思う。

いや、それよりは、業務、つまり、自分の組織で実現したい業務の制度設計をできないということは、一体どういうことなのだろうか。

過去はさておき、その業務を担う中核のメンバの100人くらいを一度に呼んでインストールするのは無理があるから、少人数の研修枠を作り、そこに都合の良いときにきてもらう。

こちらもだんだんと飽きてきそうだが、反応を見ながら研修用のスライドを終わるたびに改善しているので、なんとか走りきれた。

ある回の終わりに、面識のある方から声を掛けていただき、こんなことを言っていた。

「結局、運用を作る人がいないと業務は回らないですよね。僕もそんなことばかりやっています」

プログラムを書けること、サービスを早くリリースできることはビジネスで大切なことだ。これは誰も、否定しないだろう。

では、業務運用を作れることにはどんな反応があるだろう。多分、大概の人はそうなんだ、と聞き流すか、その価値を理解できなままだろう。

自分が得意ではないコードを書くとか、サービスをリリースするとか、課題をかっこよく解決するなどできるエンジニアをリスペクトしている。

でも、それは業務を全てか一部を機械化している。

人の振る舞いを代替しているだけ。

その、業務運用に関わる人が10人に満たない業務もあるし、それが500人も関わる業務もある。それぞれの業務の違いはあるが、関わる人が多くなればなるほど、無駄なことをさせると非生産的なコストを業務自体が作ってしまう。

そういったことも踏まえて、業務運用は設計する。

当たり前なのだが。

ただ、業務運用を作れる価値は、そういったことも全部ひっくるめて、運用を回せることに価値がある。回せない業務には価値はない。

ここに業務運用を作る価値と楽しみがある。

 

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