SIerでチームを継続することの難しさ

SIerでのチーム。チームは組織図上のチームか組織図とは別にプロジェクトチームの2つに分類されるだろう。プロジェクトチームはマトリックス組織の上に仮想的に作られるか、組織図にもプロジェクトチームとして表現されるだろう。

プロジェクト視点で見ると、組織横断的なプロジェクトか部や課に閉じた組織内のプロジェクトのいずれかになる。

プロジェクトチームはプロジェクトの定義からいずれ解散か改組され組織図上に組み込まれる。

SIerに限らずプロジェクトチームは期限性を持つから目的を達成するか中止の判断で解散する。いくら良いチームを作っても有期限性を持っているので最初から解散は決定事項である。

ではSIerではチームを継続して成果を継続的にアウトプットするチームは実現できないのだろうか。

SIerの事業会社のITプロジェクトを切り出して請け負うビジネスモデルの観点で考えれば可能であり、難しい点もある。

チームを継続できるビジネスは、アウトソーシングや維持管理の事業を思いつくが継続した成果を出していることは事実(だからアウトソースの契約を継続できているはず)だろうが、そうしたビジネスモデルで継続されているチームで成果をアウトプットしているなどと耳にすることはあまり聞かない。アウトソーシングのプロジェクト内で表彰や謝恩として事業会社から称されるケースもあるが、内輪でやっているためにSIerの内部まででしか公開されない。

このチームはアウトソースのなかでエンジニアを閉じてしまうため、技術の更新は停滞し、不連続の成長の機会を失う。そこにチームはあるのに成長が鈍化する。

プロジェクト型のチームではどうか。組織横断型はマトリックスのプロジェクトチームとなるため、プロジェクト終了とともに解散するため継続しない。SI後はアウトソーシングとなるためSIのプロジェクトチームを縮小するか、アウトソーシングの部門に引き継ぐ。

もう一つは組織内でのプロジェクトである。これは組織である部や課に閉じたプロジェクトであるから、組織長の采配でどうにでもできる。継続して成果をアウトプットするチームを作ろうと思えば作れるが条件がある。

まず最初に継続してアウトプットできるチームをどう作るかであるが、部なり課なりで1つのチームとして同じバリューを持つ。意思決定、判断、振る舞いの最低限のラインを合わせる。言い方を変えると部なり課なりでエンジニアを1つにプールする。持っている技術はエンジニアごとに違いがあっても価値観は同じであるからプロジェクトチームを組織内で編成すれば継続してアウトプットは価値観の共有レベルで期待できる。

問題はその組織、部や課の事業分野からのプロジェクトの受注に依存する。受注(組織内の予算でも構わない)がなければ組織上存在できない。これが最大の難関なのであるが解決方法は小さなチームにすることである。小さいチームであっても継続して成果をアウトプットしていれば事業分野に関わらず生き残れるだろうし、それこそが生存戦略になるだろう。

ただし、経営サイドが成長を求めなければ。

SIerとしての継続的なビジネス成長を求められるので組織長が特段保護しないと受注のパラメータで狂ってしまう。

SIerで継続して成果を期待以上にアウトプットするチームを作ることは難しいという理由は上記のように考えているからである。