マネージャがエンジニアの邪魔をするかを見分けるなら

ピーターの法則というのがある。名前を知らなくても聞いたことが記憶の隅に残っているかもしれない。説明を引用すると、あなたのマネージャはもしかするとすでに能力の極限にまで出世していて、今のポジションで必要とされる能力を持ち合わせていないのかもしれない。

能力主義の階層社会では、人間は能力の極限まで出世する。したがって、有能な平(ひら)構成員は、無能な中間管理職になる。

ピーターの法則 - Wikipedia

少しわかりにくいので別の説明を引用すると理解しやすいかもしれない。

必ずしも高い地位がより難しい仕事であるという意味ではない。単純に、以前優秀であった仕事と仕事内容が異なるだけである。要求される技術をその人材が持ちあわせていないだけである。

ピーターの法則 - Wikipedia

一つ下のポジションでは能力を発揮できていて、それを認められてポジションを上げられたが、上った先で必要としてた能力は持ち合わせていなかった、ということである

リトマス試験紙

課長職(もしくはチームリーダなどのポジション)で部下を持っている管理監督職のマネージャがハウツー本や自己啓発本でも読んでいたらまだマシかもしれないが本を読んでていないとしたら、まず間違いない。そのマネージャは遠くない将来においてエンジニアの邪魔をするようになる。

どうして邪魔になるかというと、自分の経験でしか評価する軸を持っていないからである。他からのメジャーを取り入れないということは、情報が古く、経験した事象だけが根拠で、未経験の事案が起きると実際に経験した記憶やそうした事象の共通項から得た個人的な暗黙知で評価せざるを得ない。

エンジニアが新しいことをやりたいといっても評価する軸がないから、なんだかんだいってハードルを設ける。

わからないことは先送りするか、条件をつけて諦めさせる。これはマネージャが判断して負えるリスクの裁量が小さいことに起因する。

マネージャが自分自身をアップデートできていれば、リスクを把握でき裁量の範囲でリスクをテイクできる。

マネージャが知識を得ようとする背景

マネージャ業をしていると、実践知を身につけられるようになるが、その知識を体系的に知りたくなったり、他者のプラクティスと比較して、自分の能力を高めたいと考える。

人は知らないことは思いつかないし、必要な場面で思いつかなければそれを実践投入する判断も行えない。ましてや自分をモルモットに試行することもできない。

知識を得ておくことは少ない情報で意思決定の根拠の幅を広げておくという意味がある。

これは前述したリスクをどこまで取れるかという意味でもある。マネージャに実践知か形式知があれば、部下のエンジニアが外で勉強してきて、あれこれやりたいと言ったとき、リスクをコントロールできると判断すれば、許可を出したり、見て見ぬ振りをして遠くから見守ることもできるだろう。

得る知識は他者の事例より、体系的な形式知を好むはずである。事例はあくまでも事例であり、その事例が成功、失敗にかかわらず多種多様な条件下での例であって、それはマネージャの現場では参考にならない。

参考にするのであれば、事例からプラクティスを形式化しなければ意味がないからである。