『いい人』なエンジニアを採用しないために

持論として、採用の軸を持っていないチームメンバは、エンジニアの採用に関与してはいけない。一方、採用はチーム全員で関与すべきであるし、しなければならない。

チームのエンジニアは全員採用に関わらなければならない理由

突然、明日から採用したエンジニアが入社することになったと告げられ、そのエンジニアは『あなた』と仕事をすると言われたらどう思うか。

どんなエンジニアか全くわからないし、最悪そりが合わないかもしれないし、意思決定や振る舞いがずれているかもしれない。意思決定や振る舞いが自分と合わない場合、ほぼ日中の全てを業務として、側で過ごすことは想像以上にストレスフルである。

結局、入社後に同じ業務につくエンジニアが採用プロセスのトレースをするのである。であれば、採用プロセスの頭から関与すべきなのである。

採用する側の責任

採用するポジション、想定する業務のイメージを持っていないと、迂闊に採用してから採用されたエンジニアがキャリアで悩んでしまうだろうし、同僚としてのチームもまた困る。

やりがちなのは、今困っている業務や技術をリソース的に解決するために採用してしまうことだ。それは当たり前だと思ったら違うと言わざるを得ない。

ではその困っている業務が解決した後、採用されたエンジニアはどうするのか。属する予定の組織でそのさきのキャリアを開けそうか。

今の問題と将来のキャリアを採用時に話さなければならない。そこでイメージを採用候補者が持てれば、多分大丈夫なはずだ。

採用プロセスでのサンクコスト

採用での問題はここである。

チームのエンジニアを採用するとき、何十人も採用候補者と会っていると、だんだんとサンクコストを感じて、いい人だから採用してはとと思いがちになる。特に、思考的に基準を持てないエンジニアはその傾向がある。

サンクコストについては、どうしてそう思ってしまうかその原因を推測すると、何十人も採用候補者と会っていていると相当の時間を費やす。夕方、採用候補者の都合や業務の都合があれば、夜8時から面談したいとスタートすることもある。チームのメンバによっては、家族の予定(お迎え、子守など)を調整したりすることもあるかもしれない。

そういったことが積み重なると、思考に軸を持っていない、criteria baseで意思決定をすることに慣れていないとメンタル的にも体力的にも疲れて妥協をし始めるのである。

妥協し始めるときには、採用のリーダーシップを持つエンジニアが意思決定すればだいたい同じように思うから自分は関与しなくてもいいとか言い始めたら、すでにサンクコストを感じているので、どうしてチームで採用しているかをリマインドが必要である。

いい人は沢山いるが欲しいエンジニアはまずいない

繰り返すが『いい人』を採用したいのではない。いい人ならいくらでもいる。TVで容疑者の印象を近所の人に尋ねるとだいたいがいい人である。いい人はいくらでもいる。

でもチームで成果を出してくれるポジションに採用したいエンジニアはそうそういない。

それでも、折れてはいけない。技術的負債より人的負債は大き過ぎる。

 

いいひと。(1) (ビッグコミックス)