咲が刻也を意識して、少しかわいらしくなっていく。

たとえば、

「ええ。刻也の言うとおり、わたしはいつも無表情で無感動で無愛想なんです。だから気にしないで下さい。」
咲がさらりと言った。ただ気のせいだろうか。何だか怒っているように見えた。
 第一章 静寂

「………………あ、えと、刻也と付き合ってたりして……」
「………………いいえ、違います」
「………………あの……って、来須ー、あの子なんで怒っているのかなぁ?」
第二章 自分

一方、刻也はもう、ホの字。

「君まで死んだら元も子もないだろう」
「あいつが死んでも元も子もないんだよ!」
第三章 死目

止めは、

何となく刻也に綺麗だと言われた自分を想像して見る。
…………。
…………。
いいかもしれない。

付喪堂骨董店〈2〉―“不思議”取り扱います (電撃文庫)