エンジニアの議論にはイタコが必要なわけ

頭の良いエンジニアの人達の中には、“自分の頭の中だけ”で議題になることのイメージを持っている。
そんな人たちは、頭の中にあるイメージを言葉だけで話すから、議論がかみ合わないことが多い。
そんな人たちが集まって議論が始まると何が起きるのか。

大きな問題は2つ。

議論のベースラインの共有までに、時間の半分を使ってしまう。
ゴールにたどり着けない。アイデアを出すとか、デザインや仕様を決めたりだとか、ミーティングで得たいゴールにたどり着けない。

事前にきれいに清書したパワーポイントの資料なんていらないんだ。
議論で何を話すかホワイトボードでも、その場で手書きでも良いから、兎に角、図か言葉を書け。
書いてスタートラインを合わせろって。
“自分ばかり”わかって話し始めるから、聴いている方は聞くことに集中していても耐えられなくなって、ストレスを感じるんだ。
そのうち、聴いている方も耐えられなくなって、会話を遮って話し始めてしまう。
もう、こうなったらカオス一直線。

雑談しているわけじゃないんだ。
ゴールにたどり着くために、アイデアを出すとか、デザインや仕様を決めたりだとか、ミーティングで得たいゴールにたどり着けないのは愚の骨頂としか言いようがない。
どんなに難しい議論でも、議論の成果がゼロではないはずだ。
新たな課題が見つかるかもしれないし、参加者の不足が見つかるかもしれない。
議論を始めて、脱線したり、店を広げすぎたりするかもしれないが、そうなったら、スタートラインの図や言葉に戻ればいいのだから。
いま、何人かのエンジニアを集めて議論をするのにいったい幾らのコストをかけているか考えてほしい。
ちょっとした成果でもないよりはいい。
何かアウトプットを出して終わる様に、ね。

大きな問題は2つだけれど、この2つを解決できると回避できることがある。
それは、人を責めない雰囲気が作れる。
議論は、ホワイトボードや紙に書く。
発言をしている人の顔を見ているかもしれないが、思考はホワイトボードか紙に書かれていることのはずだ。
だって、そのことを議論しているのだから。
その書かれている内容におかしいところがあれば、その書かれている内容がおかしいのであって、書いた人ではないことを思い出そう。
その書かれている内容を朱書きするなり、マークするなりしてしまおう。

わたしたちは、人を議論したいのではない。

ただ、一番の問題は他にあって、これが最初からできないから問題なんだ。
その問題とは、空中戦をさせてはいけないと知っている人が議論に参加しているか、ということ。
少し前は、ファシリテータとか言ったかもしれない。
呼び名は何でもいい。
エンジニアのリーダかもしれないし、プロジェクトマネージャかもしれない。
そんな人が実際は、その役割を担っているのだろう。
自分は、イタコでいいじゃん、と内心思っている。
表現できないエンジニアたちの言葉、アイデアを自分に憑依させて、その場で具現化して伝えるのだから。

そうやって具現化した議論は、熱くても、冷めてでも構わない。
どのようでもいい。
終わった後、自分たちの議論を振り返って、成果に満足したいのだから。