プロジェクトをコストの観点でリスクコントロールするために必要な視点


隠蔽されるコスト
普通のプロジェクトは、WBSにもとづいて予実を把握する。
コストの観点からみると予実の較差に関係なく、実績としてコストがあがってくる。

例えば、SE Aが3か月作業したら、コスト的にはこう見える。

要員 予実 1ケ月 2ケ月 3ケ月 合計
SE A 予定 1人月 1人月 1人月 3人月
SE A 実績 1人月 1人月 1人月 3人月

コストの支払いの観点では、“計画とおり”推移している。
さて、コストの観点でのプロジェクトのアセスはこれで大丈夫なのだろうか。


現実のコストを知るための視点
大丈夫なわけがない。
プロジェクトの進捗が計画とおりに進んでおらず、“計画どおりの出来高”が上がっていないなら、コスト計画をオーバランしているということになる。
例えば、先のSE Aの出来高は、2ケ月目と3ケ月目の出来高がそれぞれ“0.5人月”相当だった場合、3ケ月目を終了した時点で“1人月分出来高が少ない”ということになる。

要員 予実 1ケ月 2ケ月 3ケ月 合計
        (今ココとすると)  
SE A 予定 1人月 1人月 1人月 3人月
SE A 実績 1人月 1人月 1人月 3人月
SE A 出来高 1人月 0.5人月 0.5人月 2人月
      出来高が0.5少ない 出来高が0.5少ない 出来高が1.0少ない


コストの観点から考えると、プロジェクトコストの消化ではプロジェクトが健全に進捗しているかアセス出来ないということがわかる。
プロジェクトをコストの観点から健全性を見極めるなら、出来高のビュー、も合わせてみないとプロジェクトのスケジュールが進み、終わるころになって必要なアウトプットがそろっていないことに気付くことになる。
それを防止しようという考え方が、PMBOKのEarned Value Managementになる。
Earned Valueは、出来高を金額でとらえてプロジェクトをManagedしようとする。


Earned Value Managementの違和感
自分は、Earned Valueで出来高をお金に変えManagedするというところに違和感を持っている。
WBSで担当別にアウトプットを決めてあって、それがいつまでにどれだけできているか(=出来高)が把握できているなら、それでいいのではないか、と思っている。
Earned Valueで較差が生じているなら、金額で把握してから「あーだこーだ」するより、出来高の較差の兆候が見えてきたら、有無を言わず兆候の原因に対策した方が100倍いいと思っている。
ただ、数十何百ものプロジェクトを組織として把握するなら、金額にして較差の有無を知り、ドリルダウンして問題のあるプロジェクトを見つけ出し、組織の将来のコストリスクを見出すために有効なんだろうと思う。


兆候を見つけるために
プロジェクトを計画とおり、つまり成功させるためには、較差が発生していないか兆候を発見できる手立てを考えた方が良い。
プロジェクトを揺るがすリスクはいたるところにあるので、機械的に見つける方法とリスクを嗅ぎ付ける感覚を組み合わせてみる必要があるのだが。





  • 道具室(アプリとか)
  • 音楽室(PCからリンクをクリックするとき、PCにiTunesが入っているとアプリケーションが起動します)

itunesお買いものリスト。


  • 視聴覚室
  • 調達室