標準文書に潜む見えないコスト


プロジェクトで扱う“標準文書”とは
プロジェクトの中で扱う文書には、アウトプットを作るための標準文書が決められていたりする。特にISO9001など品質管理システムを導入しているような組織では、組織の標準文書が各種定められていることが多い。このような標準文書を適用してプロジェクトの品質をコントロールするために、QMSでは標準文書としてフレームワークとテンプレートを用意する。プロジェクトに適用する標準文書の類には、プロジェクト計画、進捗管理、変更管理、リスク管理などプロジェクトを安全に進められるように標準とする業務を定め、適合するよう促す。実際のプロジェクトでは、プロジェクトの特性からプロジェクトを円滑に推進するために、よりhow toとなるガイドラインを決めることも少なくない。
もし、プロジェクトで適用する標準の出来が悪かったらどうなるのだろうか。


標準化にかかる費用
組織で共通的に使用する標準文書やプロジェクト専用で使用する標準文書やガイドラインは、それ自身を整備するためにコストが必要になる。普通に考えれば、標準文書を兼務で担当するメンバがアサインされていて、そのメンバが標準文書を維持管理しているだろう。一方、プロジェクト専用の標準文書でもそのプロジェクトの中で、文書の自体の性質からプロジェクト管理系ならプロジェクトマネージャやPMOが、開発に関する標準文書なら技術リーダ又はプレイングマネージャのプロジェクトマネージャなどがその責を担うだろう。組織共通でもプロジェクト共通でも、いずれにしても文書を整備するのは限られた少数の人ということがわかる。
ある標準文書を1日でメンテナンスし開示するとしたときに、掛かるコストは1稼働日になる。レビューをしてもそれほど振れはないだろう。もしその文書の“出来が悪かった”場合、何が起きるだろうか。

開示された標準文書に“分かりにくい”、“使い勝手が悪い”、“誤記、考慮漏れが多い”などがあったらどのようなことがあったら、それを手にしたエンジニア分だけ生産的な時間を削がれてしまう。短納期や少人数のプロジェクトなら堪らない。
より具体的に考えよう。1000人のエンジニアがその標準文書を読み、理解し、利用するために1時間必要だとしたら、都合1000時間のコストを消費する。人月(150時間)に換算すると、6.7人月に相当する。人月100万なら670万の費用が必要になる。さらに、その標準文書を手本に作業するとき、本来なら不要な作業が含まれていたら、見えない損失が膨らみ、組織のコストを増やし利益を圧迫する。実は、標準文書を作成するコストとそれを使用するために掛かるコストが通常の業務に埋没していてたとしたら、それを知ったとき驚くだろう。


だから頭の良い人をアサインしろって
このことからも、標準文書に携わる人は、現場で標準文書を適用するエンジニアを頭に入れて文書の維持管理をしないと、それを手本に適用するエンジニアの時間を無駄に消費してしてしまうのだと意識しなければならない。現場のエンジニア一人ひとりに負担を強いず、もとの標準文書を所掌する側こそ、標準文書を適用するケースを多く想定して文書化することにコストを掛けた方が、組織のコストを全体で見たときのコストは軽くなる。だから、頭の良い人ほど管理部門に必要なのだ。


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