プロジェクト管理は手間を惜しまず
プロジェクトの情況を把握するために
プロジェクトマネージャでもプロジェクトのメンバでも、プロジェクトにかかわると実際にソフトウェアをリリースに行きつくまでに、コミュニケーションの目的や管理の目的で様々な管理手法をとる。その管理のためには、開発プロセスに関係なく、つまり、ウォータフォールでもスクラムでもなんらかの管理手段が必要になる。
例えば、プロジェクトマネージャは、工程若しくはスプリントを管理するために何らかのツールを使わないと全体の把握できないから、それぞれのWBSやタスクの計画と実績の較差を示すための予実管理をする。プロジェクトメンバも自分のタスクを把握して、優先順位し、全体のスケジュールのイベントやらマイルストーンに合わせてアウトプットをリリースするために段取りをしたいから自律的に管理ツールが必要になる。
プロジェクトを管理するツールは、道具として考えれば、アナログとデジタルに分別される。アナログなら、壁や板にポストイットを張る“カンバン”やバーンダウンチャートやマスタースケジュールを紙に大きく伸ばして印刷したものを貼って実績を書き込むなどある。デジタルならMicrosft Projectや従来のExcelなどのアプリケーションを使う方法もある。プロジェクトを管理する目的は、もちろん、プロジェクト内をコントロールする目的もあるし、スポンサーの顧客に対しての説明責任があるから、情況を共有するためにサマライズする道具としての目的もある。
デジタルの悩ましさ、アナログの悩ましさ
デジタルなら、顧客とコミュニケーションできる体裁のレベルにサマライズするだけなので情報の編集の手間が少ない分時間とコスト的に負担が少ないが、一方、全体の進捗を把握したいとか課題を一覧で俯瞰したいなど、プロジェクトマネージャなら日々気にする全体の把握の観点から考えるとたとえ23インチのディスプレイでも入りきらない。そのためスクロールせざる得ないが、スクロールするとはみ出るデータは頭の中だけになり、ものごとの判断は部分的に決断してしまう恐れがある。これは、プロジェクトメンバにも言えて、自分が担当するタスクや課題を自律的に管理を始めるとだんだん情報が細分化されるので情報量が多くなる。多くなるとやはり、ディスプレイからはみ出るので目いっぱい広げてもどうしても頭の中からこぼれる。アウトプットが出ないエンジニアは、全体を表示しようと縮小を限りなく小さくして、なんポイントかわからないような小さなフォントサイズで作業をしていることがしばしばある。デジタルは、全体を俯瞰的に把握するには無理があり、しようとすると情報落ちを招いてしまう。
一方、アナログは好きなように印刷して貼ったり、書いたりでき、また、ワークスペースが1か所ならプロジェクトの中で唯一無二のマスターデータとして一元管理することができる。マスターデータが1か所になるので必然的にプロジェクトメンバがそこに集まり、コミュニケーションがとりやすい。なにより、デイリースクラムをそこですると同じマスターデータを使って情報を共有できるから、共有レベルが高い。反面、アナログなので、顧客は違うワークスペースにいる場合、状況を共有するために、一度デジタルにする手間が必要になる。あと、貼るための壁やら板が物理的に必要になるので、オフィスでのセキュリティ管理の意識が高いと、確保するハードルが高い。
どっちも一長一短だけど
デジタルの悩ましさとアナログの悩ましさを振り返れば、どっちもどっちだけれど、作業環境の雰囲気を変えることができ、コミュニケーションを濃くする効果を期待できるアナログを優先的に選択するように考え、手間を惜しまず実を取りたい。