プロフェッショナルという生き方−中堅エンジニアで滞留しないために−


中堅のエンジニアが一番危ない
駆け出しのエンジニアが3年も経つとひと通り仕事も任されて、あたかも“自分ひとりでなんでもできるもん!”という顔をして仕事をするようになる。自信を持って仕事をすることはいいことだ。なにか、それまでに得てきた“成功体験”とまだまだ本当の自分の力を出し切っていない故の自分のリミッター知らずな若さという“馬鹿さ”を信じて、仕事に突っ込んでいく気持ちは大切なことだ。
人は学ぶことができることを知っている唯一の動物なのに、片や怠けることが好きな動物でもある。ひと通り仕事ができるようになると「オレ仕事速いから。」とか言って胡坐をかいていた中堅のエンジニアを思い出してしまう。想像どおり、そのエンジニアをときどき見かけるが、冴えない仕事をしているようにしか見えない。
入社から3年目までなら何も知らなくても、基本的なことを3年が経つまでに覚えてくれればいいが、4年目に入ったらそれありきになるのは当然なことだし、それをあてにしないとプロジェクトアサインもできなくなってしまう。丸3年は基礎を、4年目以降から徐々に社会人としての基本的な、エンジニアとしての知識、専門技術とそれぞれ3つの領域のコンピテンシを広げ、深掘りを自ら進んですることを期待している。
なぜ、マネージャは一人ひとりのエンジニアが“自ら”3つの領域を広げ、深掘りすることを期待しているのかというと、当のエンジニアが何になりたいかは、マネージャはわからないからである。当たり前の様だが、組織の事業の中心にエンジニアを配置することと“誰”をそこに配置するかは別のことなのである。一人ひとりのエンジニアは、マネージャが見立てたタレント性と本人が希望することとのズレは珍しくなく、それは当のエンジニアが持っているコンピテンシを客観的に評価できていないことと“出来るかもしれない”という淡い期待から生じていることを知らない。

簡単に言うと、第三者の視点で自己評価できないエンジニアは困ったちゃんになってしまう可能性が高い。

そのようなエンジニアは、当然かもしれないが年齢だけは中堅であってもコンピテンシが伴わないことが多い。客観的な自己評価ができないことからも、自己中心的な考え方をすることを想像するのは容易いとおり、実際に、身を焦がしてまで何か技術にどっぷりとつかるようなことはしないし、仮にしてもそれだけしかできず、中堅のエンジニアとして求められる数人のチームのリーダ役ができないというような社会人として普通に求められる仕事=プロジェクトのファシリテーションのコンピテンシを全く持っていないことが少なくない。中堅のエンジニアが、ファシリテーションのコンピテンシを持っていないと、年齢を重ね40歳台に入ったときに、エンジニアとしての生きる場所がなくなる。


プロフェッショナル
中堅のエンジニアは、そこから次のステップをどのように考え、どのように行動すればよいのだろうか。スペシャリティを持つプロフェッショナルなエンジニアにステップアップするのか。大辞林によれば、プロフェッショナルとは、次の意味を持つ。

プロフェッショナル(名・形動)それを職業として行うさま。専門的。また、その人。専門家。

まぁ身も蓋もない。では、専門家はというと、次のような意味を持つ。

専門家 ある技芸や学問などの専門的な方面で、高度の知識、またすぐれた技能を備えた人。

専門家の方がフィットしていてわかりやすい。“高度”の知識、または“すぐれた”技能を持つエンジニアがプロフェッショナルなエンジニアということになる。中堅のエンジニアがプロフェショナルになるなら、今持っているコンピテンを誰もが認める“高度”の知識と“すぐれた”技能を持つようにならないといけない。いきなりプロフェッショナルには成れないから、自分の成りたい将来像を描いて、それを達成するためのにステッピングした計画を立て、実行していくことが必要だ。だが、人は怠けることに長けた動物でもある。その目の前にあるエンジニアの成長を妨げる危機を識別できず、水草のようにただ浮かんでいると中堅層で滞留し、技術は淀んでしまうのだ。
エンジニアになって、初めて仕事を覚えたときの感動の火がまだ消えていないなら、プロフェッショナルなエンジニアを目指そう。エンジニアとして生きていくなら。


ファシリテーションスキルさえ持っていれば
プロフェショナルなエンジニアとして生きていくことを選択せず、中堅のエンジニアとして、たとえばプロジェクトの中でもグループを取りまとめるエンジニアとして生きていきたいという選択肢もあるだろう。人の希望は夫々だから、そういった生き方もあるのだ。ただ、マネージャも顧客も年齢に応じた経験を積んでいるエンジニアがプロジェクトアサインされていれば、経験に応じたコンピテンシを持って、発揮することを期待しているし、それを要求するものであることを忘れてはならない。それは、エンジニアとして避けれ通れないものだし、経験に伴って上昇するサラリーに応じて提供するスペシャリストとしてのサービスなのである。
グループのエンジニアのリーダとして必要なことは、社会人としての人をまとめ、人とコミュニケーションできるファシリテーションを中心としたコンピテンシに尽きる。プロフェッショナルな技能まで辿り着けなくても、ファシリテーションのコンピテンシがあれば貴重な戦力として認められるし、実際、活躍できる場は多い。エンジニアとして中堅層で滞留してしまわないためにも、ファシリテーションのコンピテンシに何が必要で何を伸長させるか、今を第3者の視点で再評価し、いつ何に取り組むかを専門技術と合わせて取り組むことが必要なのだ。、





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いや、暑くてぼけっとしていたら昨日今日と、続々興味がある本が(積み本予定参照方)...。それに気付かず、こんなの注文してるし。

アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~

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