コミュニケーション能力は、学習と熟慮を経ることで高めることができる


コミュニケーション能力に要求の高い時代
ここ数年、就活にしても仕事上でもコミュニケーション能力を問われる。人気のあるブログはコミュニケーション能力のlifehackを掲げ、そしてコミュニケーション能力が成功へのただ一つの道であるかのように全てで煽る。
たった30年前までは、固定電話、ファクシミリ、郵政メール若しくは直接会って話すしかなかったコミュニケーションの方法が、それにプラスして電子メール、ビデオ会議、携帯電話、facetimeなどコミュニケーションを取る手段が格段に増え、その主役もすっかり様変わりした。
昨今では、コミュニケーション能力至上主義のごとく、すべての人に対してそのコミュニケーション能力の高さを要求しているような風潮に食傷気味の感を覚えざる得ない。人は一人ひとり違うから自分の能力の優劣がわかるのであって、一律、局所的に能力の向上を目指すのはまるで美容整形する顔が流行りのタレントになるようなものだからだ。

とは言え、コミュニケーション能力は必要な能力だ。そのコミュニケーション能力も先天性の性格や天賦の才ではなく、みな、小学校などを経て学習して学んできた結果である。それは、学習と言う行為によって、後天的に技能を身に着けられることを意味する。
ならば、なぜ、いい大人でコミュニケーション能力の違いが出るのだろうか。


それはコミュニケーション能力が高いのとは違う
今の時代、多様に増えたコミュニケーションの手法は、そのコミュニケーションを取ろうとする人に選択を委ねられている。その選択の権限については、コミュニケーションを取る人が持つということそれ自体、30年前から変わっていない。
ならば、何ができればコミュニケーション能力が高いということになるのだろうか。

電子メールは、その受信が保証されたものではないが、この30年の間に社会基盤として世間に根付き、電子メールを送っておけさえすれば“送信先の相手が読んでくれる”ことになってしまってやしないか。相手にさえ、電子メールの送信ボタンをクリックしておけば、あとは、

「相手がボールを握ってくれる。」

そんなコミュニケーションは本当のコミュニケーションなのだろうか。
そのような風に、電子メールが書けたら

“コミュニケーション能力が高い”

と思ってよいのだろうか。
まったく違う。そんな無責任なコミュニケーションはない。コミュニケーションとは、相互の意思疎通の上に成り立つものであって、一方通行で執り行われるものではない。一方通行には意思の疎通は存在しない。例え相互の価値観の違い、誤解があったとしても、それを知るのは、相互の意思の“疎通があったから”である。意思の疎通は、その送り手の思考や状況を把握する能力に依存するが、その送り手が意思を疎通するための手段の選択について考慮する余地があれば、その取られるコミュニケーションは、双方向になる確率が高いだろうし、例え取った手段が受け手とプロトコルが合わなかったとしても、それが余地から考慮されるので別の手段に移るだろう。

それは、コミュニケーション能力はその送り手が状況に合ったコミュニケーションの手法を選択できることであって、選択する手段の技能の高さではない。


何ができたらコミュニケーション能力が高いのか

人に伝える言葉は、後天的に学習し学ぶことができる。
コミュニケーションの取り方は、技能ではなく、状況の判断で良し悪しが決まる。ただし、選択肢は増えており、代替はいくらでもある。

ならば、なぜコミュニケーション能力の高さが求め続けられるのか。それは、受け手となった途端、送り手から丸投げされるコミュニケーションの仕方にあるのではないか。送り手のコミュニケーションを取りたい内容自体が、

本来伝えなければならない情報に欠け、必要なら聞き返せ。

というようなコミュニケーションが蔓延しているのではないか。それは、送り手が受け手から引き出したい返信に対する期待をコントロールするという視点が抜けているのではないだろうか。送り手の聞きたいことを受け手が応えやすくするための思考と熟慮が書けているのではないか。
その点、電子メールは思考と熟慮をするにあたって都合の良い手段である。送り手は、受け手に理解されるように文章を思考することが“送り手の必要な時間だけ掛けられる”し、受け手が理解できないと思えば下書きとして保留することもできる。それは、熟慮することで、

文章のリファクタリングが行われ、無駄で冗長で必要な情報が欠けた文章を排除することができる

のである。コミュニケーション能力は、学習と熟慮を経ることで高めることができる。





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うちの子が一押しなんですが...。




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