進まない会議の理由がわからないファシリテータ

とある案件の会議にずっと出ているのですがね、一向に進まない。期限付きのタスクチームなのでそこまでにアウトプットをしなければなりません。なのに、進まない。当事者のファシリテータも何で議論がスタックするかおかしいと思っているのにスタックさせたままで、おかしいと気付いているならファシリテーションを変えたらいいのにその気配は一向にないのですね。


本当に会議が回る
回ると言っても議論が回っているのですが、改めて思い出せば、“会議は回る”は本当だ!と実感して、感動すら覚えるくらいで。いや、すごいね。回る会議。

組織の中で問題している事柄があって、それを解決するためのタスクチームがあります。この時限立法的なチームの前に事前検討会のようなものがあって、そこで大枠、つまり方針は決まっていたのでそれなりにスルスルとことが運ぶなだろう?と思っていたらそうは問屋が卸さない、と。

何度か、エンドレスサマーのループに入っているのは回りは気付いているわけで、チームのポジションやゴールを持ち出し、方向性を指し示すのですが、いつの間にかエンドレスサマーのループにファシリテータ自ら入ってしまう。これでは何度やっても会議でアウトプットは出ませんよ。



回る本当の原因
このチームは、組織の問題を解決するという目標があります。その目標は、所謂、業務要件です。その業務要件を分解し、具体的な解決する課題に設定する必要があります。
先に書いたように、実は前の事前検討会で方向性が出ているのでそれで十分かを確認する目標の再設定をするだけでよかったのです。ところが、その延長線上から戦線を広げ、兵站を伸ばしきってしまい、畳むに畳めない状況になっています。
このような状況は、SIプロジェクトで要件定義フェーズをしているときに、顧客の要件を聞くだけ聞いて、それをそのまま要件定義書に書き、次工程に突っ込んでいる状況と同じです。本来であれば、見積時の規模や見積り想定の機能数があるのでそれと照らして“今回の範囲で実現する”要件の規模にするために要件定義のフェーズで畳まないといけません。
それが出来ていない。

この要件を折りたたむことが出来ていない本当の原因はなんだろう、と。で書き出してみたら思い当たることが3つあった。

  • 最終完成物の具体化をしていない
  • ミッションの定義をしない
  • プロセスの価値の評価をしていない


一つ目は、最終完成物の具体化をしていないことです。“最初”に今回の仕事の目的と最終完成物であるdeliverableをイメージ化しておかないために、何度ミーティングをしても出席するメンバ一人ひとりの持つイメージが共有できません。共有できていないから、毎回、言葉によるイメージ合わせから始まってしまい、それでさらにフラストレーションを溜めることになってしまう。

二つ目は、ミッションの定義をしない、ということです。組織の問題を解決するために新たにプロセスを作ろうとしているのですが、そのプロセスは、本来誰のミッションであるかということを定義しないため、その時限立法のチームが解散したときにどこに引き渡すのか、そもそも引き渡す必要がないのかを駆り置きでも置くことができません。本来誰のミッションか、の定義がないと、その新しいプロセスは、それを置かれたロールの人に最初からあったことになってしまい、本来別のロールの人が持つべきレスポンスビリティを果たさないため、話がおかしくなってしまいます。

三つ目に、そのプロセスのどこに価値があるかを評価しようとしないことです。プロセスを導入することで得られる価値がないのであれば、そのプロセスは組織に無駄なことをさせるばかりでマネジメントからみれば無駄なコストを消費していることになります。


結局拾わないとダメなのか
多分、わからないんだな、このファシリテータくんは。何度も最終完成物のイメージを図式化したものを見せたり、ミッションの定義を再確認したりしても分かってもらえない。その上、新しいプロセスは、無駄なことが多く、価値がないワークが多い。ホント、トヨタ生産方式―脱規模の経営をめざしてを読んで欲しい。


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