プロジェクトのコスト管理はプロジェクトマネージャがキャッシュアウトするお金を眺めて残り少ないと嘆くためにするんじゃないんだよ


ワタシが初めてプロジェクトマネージャをしたとき、

「コスト管理もプロマネの仕事だからよろしくね♡」


と丸投げされて、いや、コスト管理は「プロジェクトマネージャのミッションてPMBOKにも書いてあったから……。」と思っても思ってもみなかったりもしつつ「はーい。」と何も考えずに受け取ったものです。


コスト管理は組織の成熟度を表す気がするよーな気がするのですよ。組織の成熟度が高まれば、“事業への評価指標が持つようになる”とか“指標値と照らし合わせて較差に応じたアクションを取る”とか。そのようなこと自体、実際にワタシ自身がコスト管理を実務をとおして経験したから得られたのかもしれませんけど。


コスト管理は使ったお金を管理するためにするんじゃないよ
プロジェクトマネージャがプロジェクトのコスト管理をするのは、使ったお金がいくらなのかを知るためにするんじゃないです。コストの管理を断片的に観ればそう見えるかもしれないですが、もし、そんな視点でしかコスト管理をしているプロジェクトマネージャが存在するなら、そのプロジェクトは赤字になるのが必須だし、黒字になるとしてもそれは偶然でしかないです。


ワタシが初めてプロジェクトマネージャをやることになって何をしたかは“はじめてのプロジェクトマネージャ”で書きましたが、その中のプロジェクトの準備で“見積もり時のコストを知る”というのも当然含めていました。だって、ほら、いくら使っていいか知らないとプロジェクトマネージャが思うようにフリーハンドでお金を動かせないでしょ?


そういったお金のつい買い方を制限するという考えの他に、もう一つ気にしていたことがあったんですよ。


お金の管理もQCD
プロジェクトを評価する評価指標は太古からQCD(Quality/Cost/Delivery)なんですね。狩りをするにしても、どれだけ、体力はいつまでもつか、いつまでに捕獲すればいいか、のようにするとまんまQCDになっちゃうんですよ。


そのQCDの一つのCostの管理として、プロジェクトマネージャは、プロジェクトを見積もった金額が制約条件ですからそれを満たすようにプロジェクトをコントロールしなければならないのです。


ワタシのコスト管理の目標設定
じゃあ、コスト管理では“何をどう目標設定すればいいか”、と考えたんですね。で、「あっ!」って。「あっ!」じゃなにに気付いたのかわからないですよね。それは、

“見積金額より1円でも安くDeliveryできればいい”


んですよ。見積金額のコストより1円でも安くプロジェクトを手じまい、いや、完了させればいい。それがコスト管理上の目標とするわけです。


コスト管理の目標を達成するために大切なことは見積もりコストを把握すること

「いや無理だよ、こんな見積もりじゃ。」


って言うかもしれないけれど、だからこそ、プロジェクトを受注してから開始するまでのチョー時間のない合間に見積もり時のスコープやコストの算出でプロジェクトが始まった後で困ったことが起きたときに振り返れるために提案していたメンバに訊いて回ったんです。

見積もり根拠、何を前提にしたらこの数字になっているのか。
何を作ると確約しているのか。
何があいまいな約束の範疇なのか。


それは、確定していることはコストとして使うことが決まってしまうという箇所を特定しておきたいからであり、未確定であるところはうっすらとしか合意されていないのだからそこを残ったコストと照らし合わせてどこまでが予算としてののり代であるかを把握しておくため、だからです。


お金の使い方にあてがなければWBSに反映できないんだよ
つまり、そこを押さえることが出来れば、あとは顧客と実際のプロジェクトを進める際にプロジェクトマネージャとして考慮してシナリオ作りすれば良いだけになるんですね。


確定している仕様は、確定しているんだから、さっさと要件を確認して仕様を詰めてしまえばいい。その様子を見ながら、未確定の要件を合意されている提案の範囲の中で、且つ、見積もりコストの範囲の中で収まるように話を持っていくんです。


ね。コスト管理はつかっちゃったお金を「あーもう残り少ないぞー。どうしよー。」と言うために管理するモノじゃないのです。