ワタシが云いたかったのは「頭の中で考えていることを言語化しろ!」でした


唐突にアレなタイトルですが、チマチマとしたトラブルと言うかトラブルの火種になりそうな出来事は日々足元に落ちているものです。それが他のものに延焼してみたり、その火種に燃料を投下するようなことが無いように動くのがプロジェクトマネージャやマネージャのロールなんですよね。


なんとなく気づく人もいるかもしれないけれど、案の定、その「火種になるかも?」のような出来事があって、それをどう落としどころを見つけて消し去るか、筋書きならぬシナリオを考えていたとき、彼のタイトルを思いつく元となったトラブルを思い出したわけです。はい。


日常の作業で出来ていて、トラブル時にできないこと
その対象になる作業が日常できていて、と書いたけれど、日常、普段出来ることとは、無意識にできることと言うことができると思うんです。それって、そこに至るまでがとても大変で何が大変かと言えば、なんとなく想像がつくと思うんだけれど無意識にあることをやってしまっているという状態は言葉のまま意識しないでその所作をしているということなのですよ。


それは、その意識しないでしょ差ができるようになるまでに、わざわざ意識をしてその所作を覚えようとしているんですね。そういうふるまいを自分の時間とリソースを払って課している。それは、

やりたいことがある → 意識してやりはじめる → 習慣にしようとする → 日常になる


こんな遷移をしているのではないか、と。


仕事で日常的に作業していることがあって、それがトラブル時に出来ていないのであれば、まだ習慣にするための遡上なのではないかと思うんです。まだ、身についていない状態だ、と。だから、トラブルという可及的速やかに対処が必要な時に必要な所作が、ふるまいができないとそれはそのときにそれに見合ったパフォーマンスしか出せないですから苦労するんです。そう言ったものだ、と考えたこともなければそれはそれで幸せかもしれませんが。


トラブルが起きたら“言語化せよ”ということの意味
プロジェクトルームに行ったとき、そのプロジェクトルームは会議室を長期借用していて、壁には模造紙というか模造紙大のポストイットが何枚も連なって貼られていたんです。その壁紙には、To Doや課題や作業の一覧の消込した状態などいろいろ書かれていたんです。正直、そこまで情報共有をしていると思ってもみなかったので

「(へーちゃんとやることやっているんだなー。)」


と感じたんですね。こうやってメンバと顧客と情報共有して進めていればお互いにどこに進んでいくのかがわかりますから。


ところが、システム切り替えの際になって、想定外のことが起きたんです。そう、トラブルが起きた。プロジェクトマネージャがそのトラブルを把握するためにメンバにいろいろ調査をするように指示しているんです。「(ほう、てきぱきと指示している……。)」なぁ、と。


で、少し時間が経ってなんだかおかしいと思い始めたんですよ。「あれ?なんだこれ?何も見えてこないゾ?」って。1人ひとりのメンバへの指示。メールで上がってくる情報。沢山ある壁に貼っている壁紙。やることはやっているのに何をやっているかが見えない。


そう、情報がプロジェクトマネージャに上がってくるけれど、メンバ個別に指示を出している。その結果、メンバからプロジェクトマネージャに戻ってくる。1:Nの上での情報伝達。全部の情報はプロジェクトマネージャに、メンバは指示があって調べたことだけ。


チームとして、全体として、今何が起きているか知っているのはプロジェクトマネージャだけだったんです。


「(あぁ、いけない。)」正直思いました。で、おもむろに壁に貼ってある紙をずらして、真新しい紙を貼って、プロジェクトマネージャにこう言ったんです。

「今までの指示を時刻とやったことを書きならべなさい。これは後で必ず必要になることです。これから指示することも時刻と指示した内容や調査の結果を書きなさい。」


もちろん、反発されましたよ。

「トラブルが起きているんですよ。そんな書く時間がもったいないです!!!」


それはそう言うでしょう。だって、それをやることの大切さがわかっていないのだもの。だから、やっていないわけで。

「もう一度。今までの指示内容、調査結果、その時刻を時系列に書きなさい。これは必要なことです。今の状態を理解して適切な対処をするためにチーム全員の知が必要です。メンバが全員同じ情報を共有しないでどうして解決策を考えられるんですか。」
「全員でトラブルを解消するのです。そのために情報を1ヵ所に集めなさい。」


トラブルの調査をするためには、状況を把握して、原因を特定して、対処をする手続きが必要です。では、そのシナリオはだれが書くのか、ということです。その場のリーダはだれか。その時の場のリーダはそのプロジェクトマネージャでした。だから、プロジェクトマネージャが考えていることを言語化させないと誰にも伝わらないのです。それは、トラブルの調査をしているなら調査の指示がそのトラブルをどうしようと考えているかを表すことになるのです。それを言語で壁に貼ってある模造紙に書いて言語化するのです。


幸い、原因がわかって顧客と共有して顧客に説明して状況を理解してもらって、お互いに役割分担して対処することになりました。あのとき、もし、壁紙に書いていなかったら、そのあと障害報告でさえ書くに事欠いて、それまで築き上げてきた顧客の信頼は失う危機にあったかもしれません。


考えは言語化しましょう。