ホワイトカラーエグゼンプションのモヤモヤ


ホワイトカラーエグゼンプションが随分持ち上げられているけれど、よくわかんないから調べる。
引用は、ホワイトカラーエグゼンプションとは *1 から。以下、同じ引用元は*1と表記する。


勘違いその1
ホワイトカラーエグゼンプションと労働裁量制を一緒のものと思っていた。実は違った。あらま。

ホワイトカラーエグゼンプション 本制度の適用を選んだ労働者はその使用者との間で合意した一定の成果を達成する前提で、勤務時間を自己の責任において自由に決められるようになる。
通常の定時勤務にとらわれない反面、勤務時間に基づかないため休日出勤等の時間外労働を行った場合の補償はされない(ただし休日については週休2日相当の日数が確保される)*1
裁量労働制 裁量労働制はあくまでも「みなし労働時間」制であり、労働時間規制を除外するものではない。*1


つまり、ホワイトカラーエグゼンプションを選択すると「週休2日は休めるけど、合意した成果を得るまでは終わるまで頑張れ。」ってことです。それが週当たり48時間連続勤務になろうが、40時間の残業になろうが。


一方、裁量労働制は労働時間規制を除外されないから、36協定などの規制がかかる。


そもそもエンジニアは対象者なの?
ホワイトカラーエグゼンプションの定義をもう一度見る。

ホワイトカラーエグゼンプション ホワイトカラーエグゼンプション(または、ホワイトカラーイグゼンプション、英:white collar exemption、ホワイトカラー労働時間規制適用免除制度)とはいわゆるホワイトカラー労働者(主に事務に従事する人々を指す職種・労働層)に対する労働時間規制を適用免除すること、またはその制度。*1


と、主に事務に従事する人々を指すとしてるが事務をどの範囲の業務としているのかが不明なわけです。本社の事務処理を想定するなら、エンジニアはそこに入るのか。エンジニアを生産設備のリソースとするならブルーカラーではないか。どちらに定義するのだろう。


ただ、マネージャは事務処理が多いからホワイトカラーエグゼンプションの側に入るかもしれない。マネージャの職種がエンジニアの延長なのか、専門職と定義されるのかどうか、それによるのかもしれない。


ホワイトカラーエグゼンプションの問題と思うところ
ホワイトカラーエグゼンプションは、

「労働者はその使用者との間で合意した一定の成果を達成する前提で *1」


とされる。では、成果とはなにか。こちらも辞書で検索する。

せい‐か〔‐クワ〕【成果】
あることをして得られたよい結果。「研究の―」「―をあげる」


単体での意味は理解することはたやすいけれど、これを先の分掌に含めて考え直すと「労働者は使用者とあることをすることで良い結果を得られることを前提で労働に従事する」ということになる。


ここで問題があると思う。労働者と使用者が「良い結果」について合意できるかどうか。これは、作業を合意するために使用者が労働者に業務委託をするために仕様を提示しなければならない、と言うことにならないのではないか。従来のやり方であれば「あることをすることで得られる『得られるかもしれない』ような不確実な期待」について、試行錯誤をしながら途中途中でイメージアップをしながら進められたものを先に明示しないといけなくなるのかもしれない。そうでなければ、労働の時間の目途がつかないもの。


一方、労働者側も、使用者からの「あることをすることで得たい『良い結果』に対して実現の確証を得られる程度に見切れないと労働時間が制御できないことから、そうした要求に対する仕様に対する自己の理解力と合意する能力が求められるのではないか。その力が不足するのであれば、一向に期待する成果が得られないことになるから。


労働者間の不平は変わらない
ますだとかにもときどきあるような、同じ給料をもらっているのに仕事は自分の方がしているとか、同じ仕事をしているのに残業をしているやつの方が残業代も評価も高い、などのような不平感は一掃される期待が出来るのだろうか。


多分、出来ないだろうと思う。一見、同じ仕事をしているのに残業をしている方が……のケースは残業代がカットされるので給与はイーブンになりそうだけど、想像するに労働者と使用者が合意の過程において、普段から定時の時間で終わっている人より作業量がそれまで終わっていないことを考慮されて「軽減されるおそれ」があるのではないか、と言う点があるから。


それはつまり使用者側の技量の問題や労働者と使用者との関係の濃淡によるところがそれなりに左右するのではないか。そんなことを想定するに至ると、現状の不平不満が一見解消するように見えても現実はそれなりに新たな課題が生じる恐れがあると思われる。


多分、この労働者の不平の問題はマネージャの質の問題によるのでどのような制度になっても解決しないのだろう。