ITエンジニアにとって「価値のある人月商売」にするかどうかはプロジェクトの目標を設定しているかどうかによる

ITエンジニアの価値を貶める『人月商売』の功罪


このエントリが注目されていてるんだけど、読んでいて矛盾はあるわ、話しがあちらこちらに飛ぶわで、ついついツイートしてしまったんだけれど、別のことを考えているときにふとこのことが彼のエントリで抜けているのではないかと思い当ったのでした。


エンジニアにとって価値のある仕事と書く場合、2つの視点からエンジニアを見ることが出来る。1つはエンジニア自身が価値を顧客に届けること。もう1つがエンジニア自身が仕事で新たな価値を得ること。


1つ目のエンジニア自身が価値を顧客に届けることは、想像し易いと思うんです。エンジニアが学び、技術を実践し、顧客が要求するものを手に入れる。それをするためには、エンジニアは技術を習得し、実践できるようになっていなければならないわけです。出来るかどうかわからないエンジニアを顧客は契約したりしないし、出来るかどうか自信がないのに仕事を受けたりしないから。


そこには暗黙で事を成す前にすでにスキルを持ち合わせているというエンジニアの状態が前提としてある。そのすでに持ち合わせているスキルを使うことで、顧客の要求を実現する。顧客はそのスキルを通じて要求を手に入れられる。要求を対価で交換する、それを価値として認識しているのですね。


もう一つの「エンジニア自信が仕事で新たな価値を得る」ということはどういうことかと言うと、「顧客の仕事を通じてエンジニアが成長をする」と言うことに言い換えられます。設計のデザインの発想、課題解決、言葉の表現、プロセスのしくみづくり。持ち合わせているスキルを使うことではなくて、新しく考える「創造性」が発揮される。この「創造性」を発揮するときにエンジニアは成長をするのですよね。


エンジニアが成長をするのは、何かを実践しているときです。学びで知識や経験を積んでもそれはプレッシャの中にある経験ではないから、どうしても何らかが甘くなってしまう。でも、顧客の前ではそうはいかないです。そうした厳しい環境下で思考を巡らし、実践して身につくから成長するのだと思うのです。それは仕事を通しでだけでしか得られない経験知なのです。


目標設定を明示的にすることで価値を視覚化すればいい
顧客の要求するもの、エンジニアの成長性が、エンジニアを中心とした価値であるとするなら、その価値を明示的にすればいいのです。どんな契約であっても、どんなITサービスであっても、その契約で実践される仕事でサービスするもの、得るモノを文章として書く。

この仕事をとおして顧客の目的を目標を達成するのだ、と。
この仕事をとおしてエンジニアは成長するのだ、と。


それを書く。書いて、エンジニアが共有し、認識し、実践し、評価する。これをすればエンジニアの価値を貶めしたりしない。そしてこれは難しいことではないし。


エンジニアの成長を促す目標を立てるコツ
じゃあどういった観点でエンジニアの成長の目標をたれればいいのだろうね。そんなの、自分で考えてね、って言いたいし、言うけれど。


エンジニアの成長の目標は2つの視点で考えると手を付けられやすいんです。1つめはスキルレベルの向上。○○で上流設計が出来るようになる、とか。2つ目は、プロジェクトチームの中のロールです。このロールが出来るようになる、というように。


エンジニアが成長をするための目標の設定は、具体的にしないといけません。そうしないと終わったときに自分自身で評価が出来ないし、目標を設定する人と目標自体を共有できないからです。