「IT業界の人月商売、多重下請けがもたらす45の害毒」で学ぶインバスケット思考

IT業界の人月商売、多重下請けがもたらす45の害毒を読んだんだけどさ、ITProって、なんてITエンジニアで飯食っているのにdisってんの?disって不安がらせて「本を買わせよう」とか「セミナーに来させよう」なんて思っていないよなーと思いたいですが。


で、この記事の遊び方ですが、45の害毒に対して自分の考えを書き出すことで日頃の業務に対する自分のポジションを客観的に見つめ直すのにある意味良い題材ではないかと、と思います。

1 労働集約型産業のままで知識集約型産業に脱皮できない 転換期だと思いますよ。野中先生の本読んでる?
2 どのITベンダーも際立った特徴や強みを持たず金太郎飴 何かしら特徴があるから企業として存続しているのでしょう。価格が安いのだって特徴です。
3 SIerを頂点とした明確な“格差社会”が存在する 格差ではなく、ロールの世界の話。リーダなのか一担当のシステムエンジニアなのか。
4 格差社会の底辺のITベンダーや技術者が“調整弁”となる 調整弁が好不況を起因で言っているなら正規雇用非正規雇用の方が先。
5 ブラック企業を温存し新たに生み出す ブラック企業は企業の業態に依るから人月限定ではない。
6 いつまでも手工業、システム開発の工業化が進まない 工業化できるものと出来ないものがある。工業化できる範囲の方の割合が少ないことを知っているのかな。いま、continuing integrationなど自働化の転換期なんだよ。
7 優れた技術を持つベンチャー企業などがスポイルされる shiftとかは?
8 先端のITトレンドから取り残されガラパゴス化が進む ガラパゴスの何がいけないのか。トレンドの99%はノイズ。
9 膨大な数の技術者を付加価値が低い領域に固定することになる 本人が望めば学べる環境が21世紀の学習環境。学び、現状に疑問を持てば自分の価値観で考え行動する。
10 新興国のITベンダーとのコスト競争に勝てない ガラパゴス化したら競争にならないのでは。コスト競争の相手は新興国ばかりではない。ニアショアだって同じ。
11 業界のステータスが上がらず国の産業政策に影響力が無い 業界のステータスの必要性がわからない。
12 国家戦略・産業政策の対象ではなく雇用対策の対象になる あれだけサイバー攻撃とか深刻になっているのに国家戦略の一つにならないと考える方がオカシイ。
13 「言われた通り何でも作る」という御用聞き営業が蔓延 基本は、スポンサー実現したいことを実現してあげることでは。それに『こうした方がもっといいです。』と言うかどうかの話。
14 全てを人月という工数に還元するので価値の提案ができない 工数は、顧客が理解できる唯一の通貨と交換できる単位です。
15 プロジェクトマネジャーが丸投げ体質となる 小規模プロジェクトに丸投げなんてありえない。
16 実際にコードを書くプログラマーの価値が軽視される 人月契約になるとプログラマの価値が毀損されるなんていみがわからない。プログラマの仕事を見積もって顧客が理解できる単位の通貨に変換しているだけで、それをいくらで売るかは契約行為の話。
17 同じチームで同一の仕事なのに所属企業で報酬が異なる そりゃ、労働契約の条件が違うんだから。ITProは記事を書く人みんな同じ給与なの。
18 ブラック企業などによる偽装請負やその類似行為が横行する 偽装請負は、法律違反です。ITProは、それを順守するように啓蒙したら。
19 ガバナンス、リスク管理がおざなりになり不正を生む温床になる 契約形態関係ないです。組織の統制に対する価値観の問題。それと顧客がどう考えている科の方が大きい。
20 定期的に発生する失敗プロジェクトでデスマーチとなる そりゃ失敗したらデスマーチだわ。因みにワールドワイドで失敗プロジェクトの割合は60%越えですけど。
21 不況時に多くの技術者が失業の危機に直面する 項番4と重複。
22 枯れた技術ばかりを使うので技術者として成長する機会を持てない 顧客が最新技術の採用を要求するケースだってたくさんある。最新技術を学ぶかどうかは技術者の問題で人月とは関係ない。
23 創り出した価値が見えにくく技術者のモチベーションが上がらない 価値とは顧客が望んだシステムを稼働させることです。
24 コネ営業が横行し優れた営業担当者が育たない 優れた営業の定義が無い。営業はIT業界に限った話ではない。さて。
25 T産業に否定的イメージをもたらし、情報工学を志す若者が減る 人月契約でも高給与が得られるなら若手は集まる。
26 優秀な学生が流入せず、ネット企業や米国に流出する ネット企業はITでは。ソニックガーデンだって人月でしょ。納品はないけど。
27 システムで余計な機能も作り、ユーザー企業の無駄なプロセスを温存 顧客が要らないと言えないだけの話。
28 ERPのカスタマイズ要求に対応し、導入効果を蝕んだ 顧客がパッケージに合わせて業務を変えることを拒むから。
29 ユーザー企業に結局は割高なシステムを使わせることになる 顧客がパッケージにアドオンしたり、いらないと言わなかったり、あまり存在意味のないドキュメントを作るな、と言わないから。
30 IT部門の丸投げ・お任せ体質を生み、IT部門の劣化を招いた IT部門が考えないでIT企業に依存しているから。
31 契約以上の要求をするといったユーザー企業の“増長”を促進する 顧客が契約以上のことを要求するのはIT企業だけに、ではない。
32 システムは特注品のため付加価値をユーザー企業に全部吸い取られる 価値は契約したユーザが手にするから生まれるのでは。
33 短期開発、工期短縮の付加価値を提供できない アジャイルという手法がありまして。人月契約でも可能です。
34 ユーザー企業の新規事業に資するシステムの開発が困難 項番33と同じ。
35 ユーザー企業の事業部門からは相手にされない IT部門が手を出さない事業部門のシステムってあるんですよ。それはIT企業に依頼が来ますよ。
36 技術者数で売り上げが決まり、成長が難しい 採用すればいいじゃない。あと、同業と協業する。
37 不況期には必ず安値受注に走り、失敗プロジェクトを生む 安値受注がIT企業の価値なら失敗プロジェクトは起きない。
38 好況になっても単価を十分に上げられない 価値が通貨への交換単位なので好況だから上がるのではなくインフレするから上げる必要があるんです。
39 人材教育にカネと時間をかけないので技術力が高度化しない 技術力はIT企業がするものと技術者本人がするものがある。
40 ガラパゴス化しているためグローバル展開できない ガラパゴス文化を売ればいいじゃん。カンバン、JITだってそう。
41 経営がリスクを取ることに不慣れ 人月毛訳でもリスクマネジメントしますよ。
42 いつまで経ってもマーケティング力が身につかない 強みが価値になるならどこでもやっていますよ。
43 当面大きな案件にならないため、最新のITトレンドに無関心になる 小さな案件だから、案件をたくさん取らないといけないんだから、顧客の関心事には注意するでしょう。
44 自らのビジネスでITを使ったイノベーションが生まれない イノベーションは普通にあります。jobsばかりじゃない。
45 “ゆでガエル”の危機が迫るのに危機感に乏しい IT企業の経営者は企業の存続が最優先だから危機感あると思いますよ。


なんか、45題のテーマのインバスケット思考をやった気分。


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