会議やレビューで一方的に押し付けるのはコミュニケーションとは言わないよねぇ

会議やレビューに参加するときの自分のロールは少し気にします。ファシリテータなのか、レビューアなのか。逆に、レビューイでも気持ちをどう持つかは気にするようにしています。


ファシリテータなら、議事の進行、議題ごとのタイムボックス、導く結論の行方、結果の確認など、ファシリテータとしての責務があるから。


レビューアなら、奢らず、横柄にならず、抽象な指摘はせず、指摘するポイントは明確に、指摘には案を添えて。レビューアが指摘に対する対処案までは口を出す必要はないのですけれど、レビューイが経験が少なければいくら良い指摘をしても、対処が伴わないので効果の点で劣る若しくは無意味になるわけです。とは言え、一から十まで言ったりはせず、押しつけでも言わない。自分の成功体験を朗々と語るのでもなく、こんな風に。

「ワタシも同じ経験を○○プロジェクトでしました。」
「○○プロジェクトをやっていたのは知っていましたっけ。」
「大変だったんですよね。」
「そうそう、死ぬかと思った。」
「レビューイさんが今持っている課題、同じことを経験しました。」
「どう対処されたんですか。」
「ワタシの場合もメンバが本番環境を理解せずに作業手順だけを持って踏み台サーバ経由で作業したら権限に躓いて状況把握に時間を取られたり、不用意なアクセスで監視を上げたりしてもう少しで事故扱いになるところでした。」
「ボク(レビューイ)の課題と同じですね。」
「そうだと思います。」

「再発防止はどうしたのですか。」
(キュッキュッ、ホワイトボードに作業プロセスを描いて。)
「当日の作業プロセスはこんな段取ですね。作業手順の他に、環境周りのポンチ絵を描かせたんです。ネットワークセグメント、利用する端末番号、利用するユーザID、アクセス権限、サーバ名とIPアドレス、操作するディスク、などなど。」
「それをポンチ絵に。」
「ポンチ絵に。」
「あと、作業前日には手順書の他に、レビュー済の当日の作業の時間割、ポンチ絵の確認をしてもらうんです。」
「毎回ですか。」
「毎回です。」
「それって時間が勿体なくないですか。」
「このエリアのシステムエンジニアって『間違っていたらパラメータを直せばいいんでしょ?』って考えていると思わない。」
「ううん……、そう思います。」
「それって毎回ミスしていたらリカバリする修正作業と再発防止で実はものすごいコストがかかっているんですよ。そっちの方が勿体なくないですか。」
「言われてみたらそうかも。」
「だったら、最初に間違えない方法をしくみとして組み込んだほうがランニングコスト、下がると思いませんか。」
「そうなんですけど。」

「あと。」
「あと。」
「何か期待できるんですけど、思いつきませんか。」
「うーん、ちょっとすぐには。」
「何度も手順書を見るコトになるし、作業対象固有の情報も認識することになるんです。だから、間違いに気づきやすくなる。それを当日関係者全員でやるのだから、作業品質がある程度の高いところに確保できるんですよ。」
「ホントですか。」
「まじ。」

「そのためにももう一つの観点が必要なんです。それは、事後に、作業計画の時間割、作業手順書、ポンチ絵など作業で使ったもので不良がなかったか、間違えそうになった箇所はなかったか、反対にわかりやすかった記載はどれか、などなど全員でフィードバックをしてもらうんです。」
「どうしてですか。」
「だって、作業をするたびに一人ひとりが手順書を見ながら環境を調べたり、作業結果を正しいのか記憶で判断していたらその作業者でばらついちゃうじゃない。それだと作業品質が一定にならないんですよ。」
「だから、当日の作業では考えさせてはいけないんです。作業をする、結果を確認する。期待する結果であれば、次へ進む。期待する結果でなければ作業を止める。連絡して指示を待つ。」
「確かに期待する結果でなければ作業は中断しないと駄目ですね。」
「こうした所作を確実にさせるために、作業を担当する人を訓練すると出来るようになりますよ。」
「そうなんですか……。」
「ワタシも試行錯誤しながらやりましたけど、大丈夫でしたよ。それをね、日々普段からね、してもらったんです。検証作業とかでも。」
「どうしてですか。」
「だって、毎日練習しているから当日出来るんですよ。急には出来ないですから。」
「いきなりはなぁ。どうかなぁ。」
「一番間違えて困るところから始めてみるのが良いと思いますよ。」
「ちょっとやってみます。」


大事なことは、自分の経験で上手くいったからといって、困っている人が同じように対処しても解決するかどうかは別の話です。だから、ケーススタディとして実際あったことを聴いてもらうことで、課題を持っている側がそのケーススタディの話から汎化して自分の課題に当てはめるらるかどうかを判断してもらうことがポイントです。


そのためにも押し付けるのではなく、聞いてもらい、考えて、何か一つでも行動に移してもらえるようにゆうどうできるか。だから、説得もしません。