プロジェクトチームのメンバが不平不満を言わずに分担する作業環境を作るには


まず、プロジェクトマネージャならチームがプロジェクトのゴールに達するためのことを最優先に考えて行動すると思います。ワタシの言い方で言えば「プロジェクトマネージャであるからこそ、担当するプロジェクトだけの『個別最適化』を考える」のです。これがマネージャなら担当する事業内での個別最適化に置き換わるわけです。事業としての『プログラムマネジメント』ですね。ついでに、何を最適化するのかプロジェクトマネージャ若しくはマネージャとして担当する仕事に掛かる課題解決のためのリソース配分です。


プロジェクトだけにフォーカスして考えます。プロジェクトマネージャがプロジェクトの個別最適化を意識し始めるのは、進捗の予実較差を目のあたりにするときです。簡単に言えば、進捗の遅れが出たらどうやって捕捉、回復させようか、と考えるときです。普通は?多くのプロジェクトマネージャは、進捗の遅れが出ないようになんて考えず、コトが起きてからの事後対処、受け身でことを考えがちです。だから、進捗が遅れて大分経ってから対策を始めるのです。


立場を変えて、プロジェクトチームのメンバの視点で考えてみます。


プロジェクトチームのメンバへのタスクのアサインは、「プロジェクトにチームワークのスキルは必要なのか」にも書きましたが、保有している技術スキルと担えるロールと経験でSEリーダなのか、アーキテクトなのか、はたまた担当なのかをプロジェクトマネージャがアサイメントするでしょう。そして、そうした役割へのアサインは「お願いしますね。」の一言で終わってしまっているのではないかと。


実際のタスクも基本は担うロールに沿ってアサイメントするわけで、あまり一つひとつの作業の難易度や作業ボリュームの大小は気にしていないのではないかと思います。気にしないのは、タスクをアサイメントする側も受けるメンバも、です。そして、気にするのは手を付けてみて大分経ってから、ではないか、と。


ここではじめて作業の難易度、量とそのタスクをこなせるメンバの処理量との較差が進捗の差異となって発現することになるのです。簡単に言えば、

 「進捗だめです。」


ということです。


こうなってしまう原因の一つに作業をする前、若しくは、直前にタスクに手を付ける前に「理想時間で見積もりをしていない。」と言うことがあります。理想時間は「そのタスクだけに時間を使えたら何時間で完了するか。」と言う考え方で、単位は時間です。これをやっていないのだから、タスクがいつからはじめて終わるかなんて当たればいい方で、早く終わるときもあるし、先に書いたように難易度が難しかったり、作業量がべらぼうに多かったりするわけです。それをやってみてから知る。


それって、ラッキーかアンラッキーな話じゃないですよね。プロジェクトに運と言う考え方はいりません。占いだっていらない。


そうしたタスクのアサインをラッキー、アンラッキーでやっていると「あの人仕事が多くて不幸だね。」とか「あの役割にならなくてよかった。」みたいになるわけです。



そうじゃないです。それではいけない。その原因はやっぱり作業のタスクの予定開始日と予定完了日にあります。別に開始日、完了日は日でもいいけれど、理想時間で見積もらわないといけない。

「今日はこのタスクを半日で終わらせるから、あと宿題の課題をやると2時間余裕がある。」
「昨日手を付けたタスクはあと今日一杯かかる。予想外に量が多い。」


とか、担当するメンバ毎に空き時間の有無をチームで共有しないといけないんです。なぜか。オーバーフローしているなら分担させて、作業量の平準化をしたいから。


この理想時間でタスクを見積もって作業をさせるときにいつも言うのが、

「空き時間を持っているのは悪いことではないんだ。お互いに助け合ったり、次のタスクの段取りを考えたり、あいまいな理解を検証ではっきりさせたりする時間に使えるんだから。」
「空き時間を持っていることは褒められることなんです。」


と言います。そうした普通に助け合う環境をチームの中につくるのもプロジェクトマネージャのロールです。