使える「チェックリスト」、ダメな「チェックリスト」はしくみの違い


システムエンジニアにとって「チェックリスト」は好まれないものだと思うんですが。第一、「チェックリスト」って聞くと最初に思い出すのはトラブルを起こした後の「再発防止策」として新たに追加される「チェックリスト」」を思い出したりするのではないかな、と思うから。いや、ホント、再発防止策=チェックリストの公式が出来上がっているのではないかと思うんですけど。


今更だけど「チェックリスト」ってなに?
思い出してみよう。システムエンジニアに限らず、小学校に行っていれば誰でも見たこともあるし、使ったこともあるんですよ。どこで?


「遠足のしおり」に持っていくもがリストになって入っていたでしょう。そう、アレです。たぶん、子どもが主体的に見て、使う「初めて」のチェックリストなのかもしれませんね。だって、遠足うれしいでしょう?おやつとかお弁当とか。でも、雨降りも気になるでカッパを持っていかないといけないし、その他いろいろリュックがいっぱいになるくらい用意して、持っていかないといけない。


そういう観点で言うと、チェックリストの用法の一つは、

「行動するために用意するものを『現物を見て確認した』という記録をあとで確認できるもの」


なのです。遠足のしおりにはもう一つ大事なことが記載されていてそれが遠足の行程です。7時に学校に集合して、7時15分に出発して……、現地には10時に到着して、と、予定している行動を時系列に並べたものが書いてある。そうした行程を順に進めると予定していた遠足が終わるわけです。


ということで、もう一つの用途は「行動順序」を表すもので、

「必要とする行動を網羅的に並べ『実施したことを記録』する」


のですね。みなさんがご存じのとおり、ご存知のとおり、それ以上でもそれ以下でもないです。


なぜ「チェックリスト」が嫌われるのか
多分、喜んでチェックリストを使っている人は少ないのではないかな、と思います。ワタシも、チェックリストなんてなくていいならいらないです。何か作業を順序立ててする必要があるとしても、間違ってダメージが少なくてそのダメージが受け入れられるならチェックリストなんで作らないです。解り易く例えれば、日常生活にチェックリストは必要かどうか、と考えるといいのかもしれません。まぁ、料理のレシピはある意味チェックリストですが、あれはお菓子作りだけ気にすればいいし。


間違ってもダメージが少ないとか、は、実は一人にしかそのダメージが影響を及ぼさないから受け入れられる背景があるのではないかと思うのです。それが、周りに迷惑をかけるようなことなら違う判断をするかもしれません。


で、なぜ嫌われるか、です。仕事で、チェックリストが嫌われる理由ですけど、それは

「チェックリストをまじめにやっても効果がない」


とおもっているからじゃないですか。そう思っているから「意味がない」とか「ムダだよなぁ」と感じて、嫌いになる人もいるのかと。でも、作業の記録をエビデンスとして残す、とか、データセンターに作業に行くのに持ち込んでいいものを準備したり、無許可で持ち込んではいけないものをより分けて事前申請したりすることとか。


そうした本来のチェックリストをチェックリストとして使うのと同様に普段の作業を確実に実施するとか、作業ミスを防止するための対策としてチェックリストを使う為にはどうしたらいいのか。


もうね、業務のフローの中にチェックリストを埋め込んで、チェックリストが出来上がったら第三者の確認がないと先に進めないような「しくみ」にすることです。第三者と言っても管理者とかマネージャとかそこまでやらなくていいですけどね。そこは程度の問題。


だけれど、作業している本人がオレオレでオーケーを出して進むようだといけないです。例えば、作業実施者と再鑑者と作業していて、再鑑者が止めたのに作業実施者が暴走して進められてしまうようではダメです。そこは、再鑑者に優先権を持たせてエビデンスを確認して、作業のポイントで関係者に周知してから先に進めるとか、そうした抑止力と第三者に見られているという環境のしくみを作らないと。


つまり、同じチェックリストであっても、そのチェックリストを回すしくみに歯止めが掛かる機能がなければチェックリストをやっている意味がないわけです。そんなだったらチェックリストなんて気やすめなので止めた方がいい。それより、まじめにしくみを直した方がいい。


とは言え、チェックリスト自体がやりたいこと、準備するものの抜け漏れがあるなら随時改訂しなければならないし、チェックリストにそって作業をする都度、担当者で結果が変わるようならダメなチェックリストなんですが。


そうそう、チェックリストは、そのチェックリストを使って作業や準備をするとき、使う人が1秒でも考え無ければならないのであれば、これもダメなチェックリストです。