プレイングマネージャの杞憂

マネージャのタイプには2つがあるようです。いわゆるマネージャのプロフェッショナルとプレイングマネージャと呼ばれる形態です。マネージャのプロフェッショナルは字面そのものでマネージャを専門職として実務には手を出さず、指示と管理と判断を担います。一方、プレイングマネージャは、割合はともかく実務にもリソースを割いてプロジェクトマネージャをやったりコードを書いていたりします。


マネージャになってみるとわかるのですが、マネージャにアサインされる人は現場でバリバリとやっていた人がアサインされることが多いようで、マネージャの資質があるからとアサインされるのはワタシの周りではあまり聞いたことがありません。昨日までプロジェクトマネージャとして采配を振るっていたエンジニアが来月からマネージャに、というようなイメージですね。


プロジェクトマネージャをやっていたらメンバを統率してゴールに向かってチーム運営をしているのでそうしたスキルエリアは十分技術レベルは持っているモノですが、マネージャはそれだけでは商売が成り立たないのでマネージャはマネージャとして担当する事業を成り立たせるために必要な新しいスキルを得なければならないし、数字も読めるようにならないといけないし、人事に絡む権限を持つことになるのでセンシティブな情を鵜を扱ったり、対処をしなければいけなくなったりと業務に必要な知識エリアが途端に広く求められるようになります。とはいえ、いきなり全部を高レベルで、と言うわけでもありませんが、差し当たり数字が読めなければ困ることは着任のタイミングにかかわらず事業自体は日々運営されているのですから想像に難くないと思います。


そうしたマネージャとしての日々の業務に没頭するようになると今まで最前線でキッタハッタをやっていたことが頭を過るマネージャも少なくないようです。そこで不安を感じるようです。


どんな不安かと言うと、最前線で技術に触れていた人が技術から遠ざかると世の中の技術から置いて行かれる、というような感覚に襲われるんだそうです。だそうです、と書いたのは、ワタシは実装より上流工程に関心が強いのでインプリは概要を押さえておけばいいと思っているからで、そうじゃなくてより実装に必要なより深い技術に関心が強いマネージャが不安になるみたいです。


言い方が悪いかもしれませんが、完全にマネージャに成りきれていない人がそうした技術に置いて行かれる杞憂を感じるのだそうです。そうした杞憂は、マネージャ同士で飲む機会があると、ときどきボソッと「不安なんですよー。」と漏らす人の声を聴くことがあるのでそう思っている人は割と多いのかもしれません。


だからプレイングマネージャをしたがる。


ワタシだって一切合財技術は棚に上げてマネージャに専念していて不安に思わなかったことなんて「ない」です。PCの画面とメンバの顔と顧客を回っていればいいなんてわけがない、と。


それより、いつまた組織の都合で現場に戻されるかもしれない、と想像すると真面目に怖くなりますよ。マネージャに成りきればなりきるほど、現場からの距離が開くように感じるからです。


だから、手出しはしないけれどマネージャの職務の一環として、担当するプロジェクトのプログラムマネジメントとしてプロジェクトのトレースをしつつ気になるプロジェクトについてはプロジェクト特有のマネージのノウハウやシステム開発のポイントを押さえたり、パッケージの新バージョンの注意点をインタビューしたりと、


「現場にもどっても鈍くならないように最低限の押さえるところは抑えておく。」


と言うことだけはやるようにしています。あと、プラスで現場で使っていないプロセス改善の手法なども。どうして何時現場に戻ってもいいようにしておかないといけないと思ったのか、まぁ、ワタシ自身のリスクマネジメント、ですね。