キミは技術書を読みますか
「新人や中堅のSEに研修してきました。」
「それでここ数日不在だったんだ。」
「はい。」
「お疲れ様。何か面白いことでもあったのかい。」
「なぜですか。」
「わざわざ席まで来たから。」
「まあそうなんですが。」
「それで。」
「最近の若手は本を買わないんですね。ビックリしました。」
「そんな話をしたの。」
「はい、講座の間に。最近買った本で良かったものを聞いたんです。」
「それで。」
「買わない、なんですよ。ほとんどが。本当もうビックリしました。自分なんかつい買って積んでおく方なので。」
「若者はお金がないかなぁ。しょうがない部分もあるんじゃないの。」
「それでも仕事で手元に置きたい本は買った方がいいですよ、絶対。」
「それはそうだけどさ、会社で買ってもらう方法もあるしさ。」
「そういう制度があることを話したらそれも知らないんですよ。」
「そりゃあれだなぁ。」
「また、そう言う人に限って閉鎖空間の仕事をしていたりするんです。」
「そりゃすごくできるSEなんだね。」
「いや、研修ではそれほどすごくなかったです。」
「そのSEは何から学ぶのかねぇ。自分の経験だけなのかな。」
「どうなんでしょう。」
「本はさ、全部自分で経験したくても物理的に無理だから他人の経験の要約をチートとしてパクる手段だと思っているだけどさ。」
「チートって。」
「だってそうじゃん、じゃなきゃそれこそ身銭切って本なんて買わないって。」
「確かに知識を得るためにお金を払っていますが。」
「何かを満たすために支払うじゃん。投資なんだよね、本を買うと言う行為は。だから、リターンを期待ているわけ。」
「投資ですか。」
「そう、それが手に入れたいことの一番ショートカットなんだな。その分、先行投資が必要なんだけど。」
「ふむぅ。」
「そう言う動機を持っているか、投資に見合うリターンを読書と実践でやっているか、ってとこかな。」
「それはそうなんですが。」
「まあ、実際はお金が絡むからご本人の価値観がズバリ表れているだけじゃないの。それに自分で買わなくても借りたり、ネットで調べたり、マニュアルを読み込むでもいいわけだ。」
「そう言う聞き方はしなかったですね。」
「そう聞いて何も読んでいないならまたそれは別の問題がありそうだけどね。」