なんか、面倒くさい仕事ばっかりですね、ボクら


「思ってたとおりの展開になってしまったよ。」
「どうしたんですか。」
「いや、今年の目標管理のテーマなんだけどさ。」
「あ、はい。」
「面倒なテーマが幾つかあって、それ、どうやらワタシにも噛ませたいみたいな雰囲気を感じ取ってさ。一旦、距離を置こうとしたわけ。」
「どうでしたか。」
「まあ、こうして話しているんだから身動きできないわけだ。」
「嵌められたんですね。」
「まあ、そうだね。」
「良かったんですか、わるかったんですか。」
「気持ちとしてはどっちでもないんだけどさ、面倒くさい。」
「まあまあ、仕事ですから。」
「それ、ワタシのセリフだし。」
「まあまあ、いいじゃないですか。たまには。」
「先方がお上手でね。具体的な進め方のヒントを撒き餌としてばらまくんだよ。」
「キケンですね。」
「そう、キケンな話だ。撒き餌だとはわかっているけどさ、こうすればいいじゃん、とか言うんだ。それがいけない。」
「針がついているんですね、わかります。」
「その上、その面倒なテーマのゴールを自由に設定していいというんだ。」
「二重トラップ、ぽいと。」
「そうさ、世の中にそんなあまちゃんなことなんてないんだよ。」
「甘い話はない、と。」
「あとである程度進むと後出しでハードルのバーは上げられちゃうんだろうな。」
「でも、お互いわかって話しているのでは。」
「狸の化かし合いみたいなもんだ。」
「で、やるんですか、ソレ。」
「面倒くさい、と思った時点で仕事だからさ。しょうがない。」
「なんか、面倒くさい仕事ばっかりですね、ボクら。」